新緑の5月がスタートした。1年後には新しい元号になっている。残された平成時代を国も個人もどう締めくくるか、そんな1年にせねばなるまい。

　官僚の最強といわれた財務省が、事務次官や国税庁長官の辞任という醜態ぶりを、国民の前にさらした。日本を動かしている、と自負する優秀な人たちだ。

　神童と呼ばれ、学生時代から記憶力抜群だった人物が「記憶にない」などとは通るまい。政治家をはじめ、どんな世界でも、その道の達人たちの記憶力は相当なものだ。

　今また、聞いたような言葉が、県議会議長の要職にある岩田国夫氏から発せられた。昨年の議長就任時に、近鉄奈良駅近くのホテルで、白昼堂々と暴力団元組長に会っていた。

　その取材に対して「記憶にない」というのだ。県議として最高の役職に就いた喜びを、お世話になった人や大事な人に報告する気持ちは分かる。

　長年の交際相手のことを「記憶にない」で通るはずがない。非公開の各派連絡会で、報道を否定したようだが、本紙の名誉にも関わる。うそを重ねるような議会のトップなどいらない。(治)