国原譜

知人の男性から「日本はこのままで良いの…

 知人の男性から「日本はこのままで良いのか」と聞かれた。財務事務次官のセクハラ疑惑のことだ。「あんなことで録音されたら世間話もできない」。

 男性は社会的地位の高い職業で、人柄も尊敬できる人物。そんな人でも次官を擁護するのかと驚いた。

 確かに、隠し撮りや密告が横行する社会は健全ではない。今回の女性記者の行動をルール違反だと非難する声も多い。しかし、今回の問題の本質はその点ではないだろう。

 政治家や官僚を相手にする記者の立場は決して強くない。その気になれば、権力者は気に入った記者だけに情報を流すこともできるからだ。

 だからこそ、報道が事実ならば、次官の言動は相手の弱みにつけこんだ卑劣なものといえる。同じ仕事で、女性だけが性的な嫌がらせを受けるのは理不尽だ。女性記者が自分の身を守るために録音し、自社で報道できず週刊誌に情報を提供した行動は理解できる。

 今回の問題を次官や大臣の進退に矮小化せず、真の男女平等の実現に向けた議論の端緒とすべきだ。まず、政治家や官僚から意識を変えないといけない。(法)

 

特集記事

人気記事

  • ならリビング.com
  • GOOD INNOVATION LAB コピーライター講座
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 47CLUB
  • 特選ホームページガイド