お好み焼きに自信あり! 「粉もん」の新領域へ 「SD食品」 - 奈良の自慢企業(26)
奈良県広陵町にあるSD食品は、冷凍お好み焼きにおいては大手に負けない自信を持っている。
代表の広川享德社長は、小学校の頃から新聞配達のアルバイトをするほど苦労し、学校も手に職をつけることができる高等技術専門校を出た。卒業後は履き物に糊(のり)付けする仕事に就いたが、28歳の時に縁もあって飲食店を開業することとなる。
その後はカット野菜の卸売などもしていたが、飲食店時代に店で出していたお好み焼きがおいしかったことを覚えていた、同じ食品卸の専務から、お好み焼きの材料をカップに入れて販売してみないかと声がかかった。これが大きなターニングポイントとなる。
時代もスーパー各社が店内加工の総菜販売に力を入れ始めた頃でもあり、総菜用のお好み焼き材料の卸売を始めたところ、これが当たった! 各店舗に鉄板を置いて、店内で加工済みの材料を焼いて提供するお好み焼きが受け、スーパーの総菜の定番となった。
そこで立ち止まらない広川社長、次は冷凍お好み焼きに目をつける。お好み焼き材料を製造していた香芝市の工場はすでに手一杯だったため、新たに冷凍お好み焼き専用の工場を東大阪市に開設する。厳選した小麦粉を独自ブレンドして、米油を使った天かすも自社でお好み焼き専用に作るなど、こだわった冷凍お好み焼きは、「ふわふわで胸焼けしない」と評判となった。
2009年には香芝市の工場と東大阪市の工場を統合して、広陵町に本社兼新工場を開設する。ドイツ製の電気式テフロンベルト焼成機はお好み焼きをひっくり返さずに1枚数秒で製品ができ、大手の冷凍食品製造会社に比べて小ロットで製造できる。そのため多品種展開が可能であり、現在では看板商品「お好み焼きの匠シリーズ」だけで15種類、業務用も合わせるとお好み焼きだけで約200種類もあるそう。
26年には近くに新工場を建設予定で、さらなる製造量の拡大が見込まれている。アレルギー対応や介護食など、「粉もん」の新たな領域にも期待したい。
(帝国データバンク奈良支店長・近藤穣治)
【メモ】
SD食品
広陵町大塚375の1