奈良県田原本町長に就任した高江啓史さん(35) - ときの人
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愛媛県出身。地元の大学を卒業し、法務省職員、監査法人勤務を経て、奈良県出身の妻の希望で移住を決意。2020年4月に公募で田原本町長公室参事となり、22年4月から副町長に就任。今年1月の町長選挙で初当選を果たし、全国最年少の現職町長となった(当時)。
目指すのは「幸せを感じられる、困った時にこそ『ここに住んで良かったと』と思える町づくり」。「人がつながり、居場所と出番があることが重要」と、不登校の子やリタイアした人など子どもから高齢者までを支える仕組みづくり、必要な環境を整えることが「基礎自治体の役割」と話す。
昨年、町民が参加した住民協議会で公共施設の再編方針について議論を重ねた。一方的な施設の存廃などで行政と住民が争い、しこりを残すのではなく、「自分ごと」として住民も対等に議論に入ることで良案が生まれた。
このような経験を生かし、住民と共に町づくりを進める仕組みをつくるための条例制定も考えている。「議論の場をつくる根拠としたい。行政情報の透明化や明確な発信も必要。ただ住民任せにならないよう職員も何倍もの汗をかかなければならない」と意気込む。
「都会過ぎず、田舎過ぎず。困った時に助け合ったり、ほど良い人間関係が残る。暮らしやすさは抜群」。そう町の魅力を語る若きリーダーがどのような町づくりを進めるのか。挑戦は始まったばかりだ。(岡崎雅樹)
たかえ・ひろふみ
1989年1月、愛媛県最南端の愛南町生まれ。松山大学法学部卒、英国アングリア・ラスキン大学大学院修了。大学在学中の海外放浪で出会った経産省内定者から刺激を受け、官僚に。法務省で4年、内閣官房で3年半、コンサル勤務を経て、町へ。家族は妻、長男(6)、長女(3)。仕事や子育てに追われる日々が続くが、「落ち着いたら家族旅行がしたい」。