笹川文林堂 海外の販路拡大に力 - ピックアップ 奈良の注目企業(21)
日本政策金融公庫奈良支店 玉木雄介
1850年創業の笹川文林堂(笹川享子社長)は文房四宝(書道用具である筆・墨・硯・紙)の販売を営む。商品の大半が熟練の職人による手作りで、その高い商品性から著名な書道家も愛用するなど業界内で高い評価を得ている。長年、国内での営業に注力してきたが、近年は国内市場の縮小から海外の販路拡大に取り組んでいる。
契機となったのはインバウンド客による店舗購買の増加だ。「自国で書道を習っている」「オリジナルの印がほしい」「日本の和紙がアートに活用できる」など、新しい需要が発生している。世界に目を向けてみると心を落ち着かせる側面での禅文化が広がりつつあり、書道への関心が高まっている。
国内とは異なる文化背景であることから、顧客のニーズは国内市場よりも多岐にわたる。顧客の幅広いニーズに応えたいという思いから、海外インフルエンサーと協力し、自社商品を活用した書道パフォーマンスによる周知活動や自社ホームページを活用した海外発送にも取り組んでいる。
笹川社長は「奈良の地が1200年以上培ってきた文房四宝を用いた書道文化を次代につなげていきたい」と話す。
笹川文林堂
奈良市角振町22番地