不染鉄作品の注目点解説 奈良県立美術館でギャラリートーク 次回は3月2日

奈良県立美術館は20日、開催中の開館50周年記念特別展「漂泊の画家 不染鉄(ふせん・てつ)―理想郷を求めて」(3月10日まで)のギャラリートークを、奈良市登大路町の同館展示室で開いた。来館者約30人が、同館指導学芸員の松川綾子さんの解説を聞きながら会場を巡った。
松川さんは、大正から昭和にかけて活躍した日本画家の不染の画業を、時代ごとの作品の特徴やテーマの選び方、見どころなど、注目点を示しつつ紹介。伊豆大島や奈良、京都、東京など各地をさまよい、作家と交流しながら各時代に流行した作風を学び、社会情勢を巧みに取り入れて独自の画風を確立し、創作を重ねた不染の姿を浮かび上がらせた。
このうち伊豆から見た富士山を中心に据えた代表作「山海図絵(伊豆の追憶)」(1925〈大正14〉年)では、「自然と人々の営みが細かく丹念に描かれ、時間や季節の推移や温かさが感じられる」などと語った。
ギャラリートークによく参加するという奈良市の女性(53)は「作家に関する知識があまりなかったので参考になった。作品の背景も分かったので、もう一度じっくり鑑賞したい」と話した。
ギャラリートークは事前申し込みなしで参加可。次回は3月2日午後2時から。