チームと選手に求められる覚悟
プロ野球2023年の日本シリーズは18年ぶりリーグ制覇の阪神がオリックスを破り、38年ぶりの日本一に輝いた。7戦までもつれ、プロ野球ファンとしても楽しませてもらった58年ぶりの「関西ダービー」だった。
オリックスファンの多くは、(今季9勝を挙げた)「山下舜平大(しゅんぺいた)が離脱していなければ」、と思ったことだろう。それでも堂々のリーグ3連覇で、阪神と互角の戦いぶりは見事だった。
阪神の岡田監督は15年ぶりの復帰で、10〜12年(12年は最後の9試合は森脇浩司監督代行)はオリックスの監督を務めて3年連続Bクラス。負けが混んだ時期に学んだことも多かったに違いない。今季、選手が伸び伸びとできる環境をつくれたのは、この時の経験が大きかっただろう。
優勝を「アレ」と表し続けた今年の阪神。前回岡田監督最終年の08年に歴史的とも言えるV逸をしているからこその表現と、昔からのファンなら知っている。2位と最大13ゲーム差をつける独走から、8月の北京五輪で矢野、新井、藤川の主力3人が離脱し、新井のけがも判明してVを逃した。
今年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも阪神の湯浅をはじめ、広島の栗林やヤクルトの村上、山田らに調整への影響が見られた。国際大会への参加は、時期やボールの規格などもあり、シーズンへの調整が難しいのだろう。
11月16日からアジア大会が行われる侍ジャパン。代表入りは名誉に違いないが、選手だけでなく送り出す側にも覚悟が求められる。(井)