やまぐち建築設計室(橿原市)山口哲央さん 顧客の理想に寄り添い最適な家を提案 暮らしを包む家を 住む人の日常思い描き - トップに聞く(2)
奈良県橿原市縄手町に建築設計事務所「やまぐち建築設計室」を構える建築家の山口哲央さん(49)は、家を設計するにあたり、顧客のライフスタイルや価値観を徹底的に聞き取る。「暮らしを考えることが住宅設計」との思いからだ。
吉野町出身・在住の山口さん。幼少期からデザインや家のことに関心があり、建築の仕事を志した。建築設計事務所に13年間勤務し、各種建築士資格を取得、2005年に独立した。
独立のきっかけは、吉野町の実家を新築したことだった。自身が設計するにあたり、家族の意見を聞いたところ、価値観の違いが明らかに。施主の立場にもなったことで、「間取りのことだけでなく、生活環境なども含めた家づくりを考えなければならない」ということに気付いた。
顧客の立場から「家づくりのしんどさ」を実感したことで、「住む人の気持ちに寄り添う建築家になろう」と、自身の事務所を設立することにした。
やまぐち建築設計室は、県内と大阪、京都など県近郊を営業エリアとし、住宅や店舗の設計・監理・コンサルティングを行っている。
「家づくりの話の内容は、使用する建材や構造、保温性、耐震性などの性能面が中心になりがち」と山口さん。「性能面の充実は当たり前」とし、「家での生活を思い描くことが設計」との思いから、顧客のライフスタイルや価値観を徹底的に掘り下げ、家の間取りやデザインに反映していく。
そのために、オリジナルのアンケートを用意し、起床時間や休日の過ごし方、趣味など日常生活を細かく聞き取る。過去に設計を手掛けた家に案内したり、建材や設備のショールーム、家具店に案内したりもする。
時間や労力はかかるが、全ては「顧客の理想に寄り添った上で、建築家の観点から最適な家づくりを提案するため」と言い、最初の面談打ち合わせから建物の完成まで、2〜3年かかる場合もあるという。
山口さんは「住まいをつくることは、暮らしを包み込む空間を生み出すこと」と語り、「今後も暮らしを丁寧にデザインすることを心がけ、住みやすい家を提案していきたい」と力を込める。リフォームやインテリアコーディネートなどの相談にも気軽に応じている。相談時にはやまぐち建築設計室のホームページやブログを参考にするとイメージが湧きやすい。(加藤浩司)
【メモ】
やまぐち建築設計室
橿原市縄手町387の4(1階)
電話:0744(47)2750