写経に込められた願いを祈願、納経も 薬師寺が写経勧進55年記念で
奈良市西ノ京町の薬師寺(加藤朝胤管主)の大講堂で27日、同寺の写経勧進55年を迎えたことを記念し、写経に込められた願いを祈願する法要と近年納められた写経の納経式を行った。
白鳳伽藍(がらん)の復興のために故・高田好胤師が始めた写経勧進の第1巻結縁は1968(昭和43)年の6月27日。納経された写経は今年5月末で約870万巻に及び、金堂をはじめとした伽藍の復興が成し遂げられてきた。写経は本尊で祈願されたのち金堂や大講堂などに納められ、永代供養されている。
法要では、弥勒三尊像の前に5万5千巻の写経が祭られ読経が行われた。加藤管主は、高田和上の功績をたたえ、納経された写経の供養と願いの成就を祈る表白文を奏上した。
法要後、僧侶が般若心経を唱える中、大講堂の屋根裏部分に当たる上層に写経の束を入れた木箱が滑車で引き上げられ、収蔵庫に納経する「納経の儀」が行われた。
法要を終えた加藤管主は「お堂のすべてが皆さまの心のこもったお写経一文字一文字で出来ている」と涙を浮かべて感謝を述べた。