音羽山観音寺 後藤住職の花だより - 日常編 2022年真夏
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11時ごろ、郵便の配達にバイクが上がってきます。今日はその到着に合わせて住職が手紙を書かなくてはいけません。郵便局の職員に手紙を託すのです。朝からバタバタとしていました。
生活感あふれる毎日 充実した時間を過ごす
「テレビでひとり生きるー。なんて言われているけど。ちょっと違うかもね。毎日誰かいるし1人ってことはないわね」
そういいながら支援者に送る荷物、お守りの発送に手がせわしなく動いています。
「ああ、手紙も書かなくちゃ」
時間を気にしながら手紙を書く住職
11時まであと30分。記者も梱包のお手伝いします。オサムの吠える声とともに、郵便のバイクの音が聞こえてきました。
ここ音羽山観音寺は降りるのも登るのも大変時間がかかります。郵便配達員は、手紙の回収と、荷物を好意でバイクで降りる時に近くの下(しも)簡易郵便局まで、郵便物を届けてくれます。そしてお昼ごろ、下簡易郵便局の人が昨日までの荷物発送の領収書とおつりをこの寺まで歩いて届けてくれるのです。
「下簡易郵便局の職員の息子さんが届けてくれるの。お弁当持参で、休憩してから帰るのが日課になっているわ。ありがたい話ね」
今日は特に蒸し暑い日。標高の高いところにある同寺でも、暑さを感じる日もあります。届けるだけでも大変な作業だと思います。
ヨーグルトでチーズ 水出しコーヒーも
「ヨーグルトが残った時はクリームチーズを作るの」
大きなボウルにキッチンペーパーを敷いてヨーグルトを入れます。お皿を何枚も上から置いて重しにし、1日かけて水分を出してできあがりです。
「コストコのキッチンペーパーが破れにくくて使いやすいわね。使い終わったものを洗って、干して再利用するのよ」
ゴミはできるだけ少なく。山での暮らしの基本です。
さて薪ストーブの上にコーヒーがのっていました。洋酒のビンを利用した水出しコーヒーです。
手づくり水出しコーヒー。まろやかな味わい
「瓦屋さんが作ってくれたの。瓦屋さんて職業名ね。いつも瓦屋さんて呼んでるから」
ビンの高さを考え、水出しフィルターを設置した木製の水出し器。作るのは大変だったのでしょうか。
「それがね。『一番大変だったのは洋酒のビンを空にすることや』なんていうのよ」
瓦屋さんの様子が分かるような話でした。
「そうだ。忘れるところだった。イチジクあるのよ。食べてね」。他の植物が植わっているプランターの養分を取ったイチジクです。よく冷やしてお茶請けとして目の前に置かれました。
「スプーンで食べる?」
そう尋ねられるほど大きなものでした。完熟イチジクはとても甘かったです。
この大きさのイチジクめずらしい
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門