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音羽山観音寺 後藤住職の花だより - 山の暮らし編 2022年真夏

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「ポンプが壊れて、いつもと違うところから水を引いてるの」と住職。庭の水やりはこの長いホースで

 標高600mにある音羽山観音寺は自然に囲まれた場所にあります。住職は「良いところだけど暮らしは大変よー」と話します。良いことばかりではない、そんな大変なところの話を聞いてきました。

 

朝から夕方までずっとセミが鳴く観音寺。抜け殻もあちこちに

 

 

クーラーなし 虫も夏の風物詩

 

 音羽山観音寺にクーラーはありません。クルミは、風の通り道で寝ています。オサムは床下の土の上で寝ています。それぞれが一番涼しいところを見つけているようです。

 

 気温は低めな音羽山観音寺ですが、この日の湿度はとんでもなく高かったのです。

 

 「今日(8月8日)、ホーホケキョってウグイス鳴いてなかった?今まで8月6日がウグイスの繁殖期の声の最長記録なのよ。記録更新したわね。相手見つけられなかったのかしら?」

 

 到着したばかりの記者にニコニコと話しかけます。記者は登ってくる途中、1匹のキイロスズメバチに追いかけられて、ウグイスどころではありませんでした。記者が観音寺に着いた途端いなくなったのです。

 

 住職の庭は花盛り。たくさんの種類のハチが蜜を吸いに集まっています。先ほどのキイロスズメバチでしょうか。蜜を吸っていました。

 

 「虫はいっぱいいるわよ。コバエなんて飼ってるんじゃない?って言われるくらい発生させてるわ」

 

 腐らせてしまったタマネギに、コバエがたかっていたことを思い出したようです。

 

 音羽山観音寺に大きいゴキブリはいないそうですが、ムカデ、カメムシ、アブがいるそうです。

 

 「大きいカメムシは家の中で見るけど、小さいカメムシは花のところにいて茶色や緑色しているわ。それから梅雨が明けるころにアブが発生するの。アブは刺すから要注意よ。アブの大きさは大中小あって、大きいのはスズメバチくらいの大きさね。今年の梅雨明け早かったじゃない?なのに梅雨明けの2日前から出てきたわ。どうやって梅雨が明けるって分かるのかしら?謎なのよ」と住職は、うなずきます。

 

オニユリに隠れているカメムシ

 

 

お寺のライフライン ガス・水道・下水

 

 調理にはガスを使います。プロパンガスを運んでくる業者は、最大径射角33度、曲がりくねった坂道を車で登ってくるそうです。水道は簡易水道。ポンプで水を汲み上げています。風呂の湯は薪で炊いています。さて下水はどのようにしているでしょうか。

 

 トイレに「紙は流さないで下さい」「紙はごみ箱へ」と、はり紙をしています。

 

 「トイレにたまった物は汚水ポンプで吸い上げるのよ。初めは井戸の掃除のために購入した水中ポンプだったの。次は池の掃除に使うようになったの。腐葉土が池に溜まるからね。池の掃除は金魚を保護して、水抜いて大変なのよ。だから今は信者さんにお願いしてるの。それからトイレが汲み取り式で掃除が大変だから、そちらに使うことにしたの。水中ポンプが汚水ポンプに格下げになったわ」

 

 汚水ポンプのホースが折りたたみ式なので、折れたり曲がらないように山の中に向かってまっすぐ設置。穴を掘って汲み上げた物を埋めています。ホースが折れていたり、紙が入っていたら詰まる原因にー。詰まると便槽でポンプとホースが外れてしまいます。便槽のポンプとホースを引っ張り出して、軽く洗ってからつなぎ合わせ作業を再開します。

 

 「その臭いこと!」

 

 作業後はポンプとホースを清掃して終了です。トイレの掃除は翌日雨が降ることを前提に行います。雨でにおいを流すそうです。

 

 住職の日常が生き生きしているのは、労力が当たり前の暮らしが背景にあるからなのかもしれません。

 

今年もシソがバッタに食べられる。「それでも今年はバッタもカマキリも少ないわね」と住職

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。

火曜日閉門。

17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門。

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