音羽山観音寺 後藤住職の花だより - ご長寿様編 2022年初夏
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参道ではホーホケキョと四方から聞こえます。またコココココッという音も聞こえます。汗だくになりながら記者が到着すると、庭から住職の話し声が聞こえてきました。
楽しい水やりタイム さびしくなった玄関
「まあ……」という住職の声がします。どなたかいらっしゃるのかしらと思いながら、庭に行くと住職1人。長いホースをたぐりながらプランターや植木鉢に水をあげていました。
「咲いたねえ」と花に話しかけています。先ほどからの声は、この声でした。
「庭に仲間入りしたギボウシにツボミがあったの。うれしくて」とニコニコ顔。念入りに水を与えてました。
ツボミを付けたギボウシ
さて玄関にいた犬のスイカの姿がありません。
「5月7日にね。お迎えがきちゃったの」と、その日を鮮明に記憶していた住職は一気に話します。
「その日の朝はオサムとたくさん遊んでたの。オサムが『ケーン』と今までにない鳴き方をしたのよね。そしたらスイカの前足が倒れていたの。毛布に足をひっかけたのかな?と思ってた。それから夕方まで寝ていて、夕方の散歩は手伝いの人に行ってもらったの。腰がくだけたみたいで首が下向いてた。トイレはちゃんとできたみたいだったけど、手伝いの人に抱きかかえられて戻ってきたの。急にガタガタ震えてね。21時過ぎ、静かに逝ってしまったわ」
取材の日はその日から1カ月後。玄関のスイカの小屋も囲いも撤去されていました。
「さてこんなもんかな」と水道の蛇口を閉めにいきます。
「あまり水をやるとトイレの水がなくなっちゃう。水源一緒なのよ」
山の水をタンクに溜めています。また溜まるまでしばらくかかりそうです。
もう1匹のご長寿様 ストーブ前のクルミ
「スイカは16歳だったから人間でいう80歳くらい。大往生だったわね。ネコのクルミは18歳で人間でいう88歳(米寿)くらいかしら」
今、クルミは昼間のほとんどを家の中で過ごし寝ています。住職のひざが大好きで、起きている時は「早くすわって」とニャーニャー言ってます。
「寝る前にね。ブラッシングしてあげるの。100均で買ったカーペットのホコリもとれる優れモノよ」すわって話すとクルミがひざから離れなくなるため、立ったまま話す住職。
「今日は疲れたからまた明日ね」と言ってもブラッシングをしないと不機嫌になるクルミ。ニャーニャーうるさくて結局ブラッシングするはめになるそうです。
「住職早くすわって」というクルミ
ホーホケキョと室内まで聞こえます。住職にコココココッていう音について聞いてみました。
「アカゲラかアオゲラかしら。アカゲラは見たことあるわね」
音羽山観音寺は大きな木がたくさんあります。枯れた枝にいる虫を捕まえにアカゲラが来るそうです。
「そういえばホトトギスが鳴いたのよ。5月27?27日だったかしら?書いておかなくちゃ」
住職は野鳥も好きなのかもしれません。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門