縁の下や軒下で、すり鉢状に掘られたアリ…
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縁の下や軒下で、すり鉢状に掘られたアリジゴクの巣を見かけることがある。うっかり落ちたアリは這い上がろうとすればするほど足元の砂が崩れ、底で待ち受けるアリジゴクの餌食になる。
すり鉢は砂が崩れる寸前の「安息角」で掘られており、わずかな衝撃で崩れ出す。アリジゴクは砂の湿り具合に合わせて傾斜を調整しているというから恐ろしい。
不正の見返りに金銭が動く収賄も、落ちたら容易に抜けられない地獄かもしれない。巣を支配するのはアリジゴクならぬ欲ジゴク。一度金銭を手にしてしまえば贈賄側と手を携えて巣の底まで落ちるしかない。
大和高田市立病院の眼科医が、医療機器販売会社から現金を受け取った収賄容疑で書類送検された。同社の白内障用レンズを優先使用する見返りだったという。
濁った水晶体を取り除いてレンズを入れる白内障の手術に恐怖を感じない患者はいないだろう。そのレンズが不正の温床とは。
アリジゴクに捕まったアリは体液を吸い尽くされ、干からびて巣の外に放り出される。身を守るには、落ちないようにするしかない。(増)