こけら屋根、修理中 奈良市の春日大社末社の夫婦大国社 緑青で腐朽菌抑制
奈良市春日野町の春日大社の境内末社、夫婦大国社(国重要文化財)で、こけら屋根のふき替え作業が報道公開された。屋根のふき替えは2004年以来20年ぶりとなる。
夫婦大国社は、摂社若宮神社に付属する手水屋に全国で唯一、夫婦の大国様を祭る。現在の建物は1633(寛永10)年に造替された。屋根面積は195平方メートルでこけら板枚数は約6万6千枚。こけらぶきの建物は珍しく県内では16棟しかないという。
7月下旬から作業を開始し、南側のふき替えは完成、現在は北側を作業中。この日は薄い杉の割板(長さ30センチ、幅10センチ、厚さ3~4ミリ)を3センチほどずらしながら葺師(ふきし)と呼ばれる技術者が竹くぎを打っていく伝統的な作業が行われていた。
今回の修理では、こけら板の腐朽抑制のため薄い銅板を一緒にふき込み、さびて発生した「緑青」によって腐朽菌を抑制する技法が施された。今後は、棟瓦の積み直し、漆喰(しっくい)壁塗りなどを行い10月中に竣工(しゅんこう)予定。同27日に夫婦大国社講社大祭が営まれる。
同大社広報の秋田真吾さんは「20年ぶりに傷んだ屋根のふき替えをできて良かった。秋の大祭で新しくなった夫婦大国社にお参りいただければ」と話している。