低迷から躍進へ 長所伸ばし弱点克服を - 奈良クラブ

リードしても勝ちきれない試合が続き、チーム全体に閉塞感が漂っている。最終ラインが下がり過ぎて、敵に主導権を奪われ、劣勢を強いられる。セカンドボールに競り負け、守備に奔走している間に集中力が欠け、体力も尽きて失点するパターンから抜け出すことができない。
リトリートディフェンスが奈良クラブの特徴で、前線から圧力をかけてボールを奪うプレスディフェンスとは違い、まず選手たちが自陣へ引き、守備の陣形を整えて、相手を迎え撃つ。そのために、どうしても引き気味になる。それが今、弱点になっているようだ。
YS横浜戦は前節・鳥取戦の反省から、守備のブロックを意識的に上げて、プレスをかけたが機能した時間は短かった。ボールを保持できずに、試合の指導権を敵に握られる時間が続き、バタバタと守備に奔走する状況は変わらなかった。
デフェンス陣の問題というよりは、オフェンス陣を含めた全員の守備戦術、意識に統一感がなく、バラバラに守っている印象だ。
ただ、フリアン監督の認識は違う。守備に関しては、状況によって、ややブロックを上げてプレスをかける修正をしても、これまでのやり方(リトリート)を踏襲し、後半にフレッシュな選手を投入することで乗り切ろうとしているようだ。
むしろ2点取ったら3点目、4点目を貪欲に奪って、相手を打ちのめす。そんな強い気持ち「勝者のメンタリティー」を選手たちに求めている。超攻撃的なスタイルを貫くことで、攻撃の長所をさらに伸ばし、守備の弱点を克服する狙いがありそうだ。
そういえば、「どのようにビルドアップすべきか選手たちの理解度は一つステップアップした。3番目の選手を探して使いゴールに結びつける。なかでも1点目はそういったプレーだった」と、この日の2ゴールを誇っていることからもうかがえる。
20試合が終わって4勝7敗9分けの勝ち点21で15位の成績。フリアン監督は「この戦い方を続けていくことが今後の道程だ」と言い切った。だが、高い理想と現実の間で、選手たちは戸惑いを覚えている。(河村)