開幕間近 「謙虚に、ホーム戦を大事に戦う」 - 奈良クラブ フリアン監督に聞く
昨シーズン、奈良からJ3を吹き抜けたスペインの風が、多くのファンの期待を受けて旋風を巻き起こした。一昨年までJ2だった琉球や盛岡などのチームに勝利し、JFLから昇格したJ3初のシーズンでJ2昇格目前に迫るなど、一気に上位進出を果たした奈良クラブ。新たに12人の戦力も加わり、2年目の開幕を目前に控え、今季はどのような上昇気流を生み出すのか。期待を込めて、フリアン・マリン・バサロ監督に意気込みや今季の展望を聞いた。
「ファンの皆さんに大きな借りがある」
一昨年、就任2年目でJFLリーグ制覇とJ3昇格を果たし、県初のJリーグチームの誕生に大きく貢献。さらに昨年はJ初年度にもかかわらず全38試合を15勝11敗12分けの勝ち点57、20チーム中5位の好成績を残したほか、同年4月度のJ3リーグ月間優秀監督賞を受賞している。その際、選考委員が「しっかりとした守備組織を作らなければ勝てない、ということを考えて戦っていることが非常に素晴らしい」と評価したように、年間を通してリーグ最小の32失点という結果など、守備力への強いこだわりが躍進の根底にある。
フリアン監督自身は昨シーズンを「チームファースト、チームとして戦うという点では、ほぼエクセレントと言えるところまでいけたと思う。しかし、アウェーでの成績はリーグ1位と良かったが、ホームでの成績は苦しいもので16位だった。ファンやサポートしてくれた皆さんに大きな借りがあると感じている」と振り返る。J2昇格間際の5位という成績ながら、決して満足のいくものではなかったようだ。
今季の抱負を「昨シーズンの良かった部分を維持しベースとしつつ、ホーム戦の成績を大事にしていきたい。また、相手チームが守りを固めてきてもそれを攻略し得点していく力も必要になってくる。それが昨年苦しんだ点なので改善していきたい」としつつ、「良かった部分を失わずに継続することは、昨年がとても良かっただけに、同じレベルでやっていくのは難しいこと。選手一人一人に『謙虚』という言葉を改めて刻んでほしい」と期待を込める。ホームでの勝利を重ね、J2昇格という形でサポーターに借りを返すべく、開幕を見据える。
開幕へ向けて県内各地へ表敬訪問
J3リーグ2年目のシーズン開幕に向けて、フリアン監督をはじめ奈良クラブの選手らが、県内各地を表敬訪問した。
奈良クラブは以前から推進してきた「39市町村応援プロジェクト」の一環として、今シーズンは39市町村のすべての名称をデザイン化してユニフォームに刻むなど、より一層地域との連携や交流を重視している。
2日にフリアン監督と選手らが県庁で山下真知事に今シーズンの抱負を語ったほか、大和郡山市や橿原市、田原本町、広陵町、山添村など、多くの選手らが各地へ赴いた。
昨シーズンはJ初年度でチームを大きく前進させたが、アウェーでの成績に比べホームで結果を残せなかったことを「地域に借りがある」と重く受け止めているフリアン監督。「J2昇格も大事だが、まずはホームで勝ち借りを返していくことが第一。結果はそれについてくる」と話している。その思いは各選手に伝わり、ホーム戦での勝利がチームの最優先目標となっている。
ホームのロートフィールド奈良がある奈良市には、15日に県出身の鈴木大誠、田村亮介、下川陽太の3選手が訪れ、仲川元庸市長に「奈良を盛り上げ、貢献していきたい」と意気込みを話した。
24日の開幕戦に向けて県全体を熱く盛り上げ、「奈良一体」となって勝利を目指す。
奈良県知事訪問=2日
奈良市長訪問=15日
2024年2月19日付奈良新聞に掲載