総括判断、6期連続で「持ち直し」 1月判断の奈良県内経済情勢
奈良財務事務所(前田泰之所長)は19日までに、2024年1月判断の奈良県内経済情勢報告を発表した。総括判断を「県内経済は持ち直している」とし、6期連続で据え置いた。同事務所は「県内経済は上向きの状態が継続している」としている。
個人消費・生産活動・雇用情勢の主要3項目は、いずれも前回(昨年10月判断)から判断を据え置いた。先行きについては、「雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあって、持ち直していくことが期待される」とする一方、「中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっている」などと注意を呼びかけている。
個人消費は「緩やかに回復しつつある」と4期連続の据え置き。百貨店・スーパー販売は、消費者の節約志向の高まりによる購入点数の減少などにより、足踏みの状況にある。乗用車新車登録届出台数は、小型車で前年を下回っているものの、普通車・軽自動車で前年を上回り、全体では前年を上回っている。観光動向は、インバウンドや国内観光客の増加などにより、緩やかに回復している。
生産活動は「足踏みの状況にある」と2期連続の据え置き。企業からは自動車関連で生産が回復しているとの声が聞かれる一方、食品値上げによる消費者の
購買意欲低下の影響を受けているとの声などがあった。
雇用情勢は「持ち直しつつある」と6期連続の据え置き。有効求人倍率は引き続き求人が求職を上回っており、法人企業景気予測調査の従業員数判断BSI(全産業)も11期連続で「不足気味」超となるなど、いずれも持ち直しつつある。
企業からは「万博開催に向けた建設工事に人員を要しているため、通常の事業については賃金を上げなければ人材確保が難しい」(建設)などの声が上がっている。
同報告は年4回発表。経済指標や企業ヒアリングなどを基に取りまとめている。