薪の炎で暖まる「匠ストーブ」 - 奈良の自慢企業(17)
薪(まき)をくべて、パチパチと燃え上がる炎を見ながら、体を向けている方向からじんわりと体が温まってくると、なぜか気持ちもホッとする。スキー場のロッジや旅館の大広間、祖父の家や、もしかすると学校にあった人もいるかもしれない。少し懐かしい気持ちにもさせてくれるのが薪ストーブだ。
奈良県天理市にある「匠ストーブ」は、そんな薪ストーブの専門店だ。代表の森茂雄氏は学校卒業後、父がしていた家業の大工の手伝いに入る。そこで仕事を手伝いながら、戸建て住宅建設のノウハウを学んだ。21歳の時にはログハウスの建て方を学びにカナダに3週間ほど行く機会に恵まれ、ログハウスの建築も手掛けるようになる。26歳の時には知り合いの喫茶店が2店目を出店する際にログハウス風にしたいという要望を受けて、これを転機に家業から独立して個人創業することとなった。
それからはログハウスと一般戸建て住宅の建築を手掛けながら、設置工事を含めた薪ストーブの販売も行っていた。2013年ごろからはファイアーライフグループとして、アメリカの「Vermont Castings(バーモントキャスティングス)」の薪ストーブの販売を、16年ごろからはドイツの「skantherm(スキャンサーム)」の取り扱いも始め、今では「skantherm」専売の代理店となっている。
このスキャンサームの薪ストーブ、一目見てこれが似合う家に住みたい! と思ってしまった。今まで見てきた薪ストーブのデザインとは全く異なっている。デザインは全てデザイナーの手によるもので、炎がなければ、大型テレビや高級スピーカーにも見えてしまうような洗練された雰囲気があり、これを中心に置いて部屋の内装を考えたくなるくらいの存在感がある。
色はマットブラックが主体で、大きな透明ガラスも特徴的だ。機種によっては回転させることもでき、部屋の配置を気にせず使うことができる。鋼板は一般的な薪ストーブと比べて1・5倍から2倍程度厚く、一番重要とされる煙突も二重断熱煙突を使用しているため燃焼効率もとても良く、炎が消えかかっている薪に新しい薪を乗せるだけで自然と炎が立ち上がるくらい、保温性も高い。
これから家を建てたり、リフォームの計画がある人は、一度問い合わせてみてはいかがだろうか。
(帝国データバンク奈良支店長・近藤穣治)
【匠ストーブ】
天理市石上町428の1