ペットボトル水平リサイクルで奈良市 企業3社と奈良県内初の協定
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奈良市は28日、2050年の「カーボンニュートラル」実現に向けた循環型社会形成の仕組みづくりの一つとして、ペットボトルを再生する水平リサイクルの実施協定を廃棄物処理会社「大栄環境」(神戸市)、総合商社「豊田通商」(東京都)、飲料会社「サントリーホールディングス(東京都)」の3社と締結した。この3社間と地方自治体との協定締結は、東大阪市(大阪府)に次いで2例目で県内では初。
具体的には、市が回収したペットボトルを分別・圧縮・梱包(ベール)し、大栄環境が豊田通商に配送。リサイクル原料のペレットに加工した上で、サントリーがリサイクルボトルにして飲料販売に再利用する。
市環境部廃棄物対策課によると、市が直接回収しているペットボトルは年間約500トン。(500ミリリットルボトルで約2500万本)。この仕組みは来年度からスタートする。
市廃対課によると、使用済みペットボトルの回収率は2021年で94%。うち86・0%がリサイクルに回っているが、主にシートやフィルム、繊維類に再利用され、ペットボトルなどへの再利用は2割程度に留まっているという。
市役所で行われた記者会見で、仲川元庸市長が「3社から連携の申し入れを受けた。水平リサイクルでは何度もペットボトルに蘇ることになる。これが普及し当たり前になるよう協力したい。市民にはラベルをはがしたり汚れをゆすぐなど協力をお願いしたい。市の取り組みが全国に広がれば」と期待。
大栄環境の金子文雄社長は「ペットボトルの水平リサイクルは技術も確率され付加価値の高い資源循環」。豊田通商の金沢良親部長は「水平リサイクルは当社が掲げる重点分野の廃棄物の再資源化による循環型社会構築への貢献を具現化する」、サントリーHDの藤原正明常務執行役員も「今回の締結は市が目指す循環型社会と脱酸素の取り組みと、サントリーのペットボトルの製造に関わる原料に石油を使わないとの目標に合致したもの」などとそれぞれ評価した。