経済

土壌改良で農家を助ける 有機農業拡大に貢献「J―エムケー」 - 奈良の自慢企業(11)

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有機酵素肥料を製造する様子

 代表の藤井昇氏が環境施設の維持管理と営業の経験を生かし、取引先のコスト削減とリサイクル率の向上を狙って取り組んだのが食品などの有効な副産物を使った有機酵素肥料の製造だ。

 

 J―エムケーでは食品工場から排出される食品副産物にタンパク質、炭水化物、脂質、その他ミネラルを含んだ多種多様な有機物が含まれることに着目した。国内大手食品製造会社から製造過程で発生する副産物を仕入れて、奈良市藺生町の工場で保管・粉砕加工・攪拌(かくはん)作業などを経て、自社で有機酵素肥料を製造している。

 

 この根底には、食品を製造する過程で発生する副産物を利用して肥料を作り、またその肥料で農産物が生産されるサイクルを効率よく回すことで、食品ロスを軽減し、製造コストを抑えて農産物の適正な価格を維持、ともすれば3Kと言われる農業従事者の給与を上げていきたいという熱い思いがある。

 

 また、同社と大国酵素、大国フーズ、みどりフーズで「酵素農業研究会」を立ち上げ、農家とも連携して環境に優しい野菜作り、米作りを目指して勉強会、技術指導なども行っている。

 

 そこから発展して、2022年11月には協栄産業を加えて「一般社団法人資源循環型農業推進協会」と名称を変え、支援企業と農家をつなぐ架け橋となり、未来の農業と地球環境のために「資源循環型農業」を推進している。

 

 その一つとして、長年の化学肥料の使用で酸化して弱った土壌を還元する土壌改良材「酵素肥料」を開発、国が「みどりの食料システム戦略」で掲げた50年までに耕地面積に占める有機農業の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大するという目標にも貢献している。

 

 有機酵素肥料を関西圏を中心とした100軒ほどの農家に販売していて、その過程で相談される個別の悩みや課題を解決できるよう丁寧に話を聞き、肥料の製造のほか、栽培された良質の農産物を「酵素のメグミ」としてブランド化し、商品化も進めている。

 

 また社内では新たにサステナビリティ推進室を設け、ESGといわれる環境、社会、企業統治の観点やSDGsなどの推進にも力を入れている。肥料や土から農家を支援し、資源循環型の農業を推進していく取り組みがこれから大きく波及していくことを心から願っている。

 

 (帝国データバンク奈良支店長・近藤穣治)

 

 

 

【J―エムケー】

奈良県上牧町桜ケ丘3-10-10

https://www.yao-g.com/

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