ATOUNが倒産 アシストスーツ販売伸びず
東京商工リサーチ奈良支店は21日、アシストスーツ製造の「ATOUN」(奈良市左京6丁目)が、9月7日に奈良地裁から倒産の一形態である特別清算の開始決定を受けたと発表した。負債総額は約3億5450万円(2021年3月期末)。
同支店によると、同社は2003年にパナソニックの社内ベンチャー制度で創業。2人分の作業が1人で可能な着用型ロボットのウエアラブルパワーアシストスーツの研究開発と製造を手掛けるなど、労働力人口減少の時代に需要拡大が期待されていた。
しかし、研究開発への先行投資が大きく、赤字が続いて補助金に依存する財務体質が常態化。
商品のリリースはできたものの安価な類似商品が発売されて販売量が伸びず、新型コロナウイルスの拡大による商談不調が拍車をかけた。
21年3月期決算での売上高は、前年の3億5千万円を大きく下回る2億2100万円にとどまり、赤字決算を強いられて繰越損失を膨らませることになった。22年3月期も業況は改善せず、同年4月の株主総会で解散が決議された。
販売済み機器の保守はアドバンス(川西町)が引き継いでいる。