「すがすがしい気持ちだ」。5選を果たせ…
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「すがすがしい気持ちだ」。5選を果たせず間もなく県庁を去る荒井正吾知事は、記者たちに現在の心境を聞かれてそう答えた。
辞書を引くと「心が洗われたように爽やかだ」、そんな意味が書かれている。質問に応じる表情も、これまでにないほど晴れやかだった。形勢不利が伝えられる中、最後まで支えてくれた人たちがいるのだろう。
ただ、奮闘むなしく敗れたのは県政界のトップを争う政治の世界。スポーツの世界なら全力を出し切ったと称えられる場面だろうが、知事選の場合はそうもいかない。
新知事となる山下真氏は荒井県政を厳しく批判し、柱だった事業の見直しを表明している。各方面に影響が出るのは避けられず、「にがにがしい気持ち」の人もいるだろう。
「我事において後悔せず」は巌流島の戦いで知られる宮本武蔵が最晩年に残した言葉だが、5選への構えを崩さなかった荒井知事の心境は、それに近いのかもしれない。
双方の思いが渦巻く中、新しい県政は秒読みに入った。2本の刀を用いて最強となる武蔵の兵法「二天一流」とはいかないものか。(増)