時代とともに教育現場も変化を 奈良県・吉田教育長が退任
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奈良県教育委員会の吉田育弘教育長(69)が31日、4期10年の任期を全うして退任する。
1978(昭和53)年4月、県立大宇陀高校で数学科の教員としてスタート。西の京、桜井、奈良高などで教鞭をとり、99年8月に県教委事務局人事係に配属。学校教育課長、事務局理事などを経て2014年、教育長に就任した。
旧制度で1年、新制度で3期9年の計10年の間、社会変化に伴い、教育現場にデジタル化を取り入れるため全国でも珍しく生徒や教員一人に一つのグーグルアカウントを渡したり、子どものセーフティネットに対して、県が最後の砦になるとの思いを持ち、不登校の子どもの対応、教員のメンタルヘルスなど、さまざまな課題に取り組んだ。
偏差値教育で子どもの力は図れないと、県立高校の特色づくりと、再編にも取り組んだ。校舎の耐震化問題も含め、県立高校の適正化計画では批判も受けながらも、「未来の社会に生きる子どもたちのことを考えた」と実行した。
吉田氏は「反省すべき点もあったが、適正化計画が一番印象に残っている。教育長になった時は、前任者を踏襲するものと思ったが、時代とともに教育現場も変えていかなければならないと、強く思った」と振り返り、「今後、孫の世話をする」と微笑んだ。