予定額4年連続増 24年夏季ボーナス 波及効果は限定的
物価上昇に追いつかず
南都経済研究所(奈良市)は11日までに、2024年夏季ボーナス支給(予定)アンケート調査の結果を公表した。夏の平均支給予定額は4年連続で増加したものの、物価上昇に賃上げが追いつかず、経済波及効果は限定的とみられる状況がうかがえた。
回答企業270社のうち、215社(79.6%)が夏季ボーナスを「支給する」と回答。「支給しない」は34社(12.6%)、「未定」は21社(7.8%)だった。前年調査比では「支給する」は同水準、「支給しない」が0.2ポイント上昇した。
従業員(正社員)1人当たりのボーナス平均支給予定額(集計可能な172社の加重平均)は36万2985円で、前年夏実績と比べ2.3%増加した。業種別では製造業(77社)が35万9955円で、前年夏比3.5%増加。非製造業は36万5346円で、同1.4%増加した。1人当たりのボーナス支給予定月数(単純平均)は、前年夏比0.01カ月増の1・31カ月だった。
昨夏と比べ支給予定額を増加と答えた81社の要因(複数回答)では、「物価上昇への対応」が59.3%、「従業員のモチベーションのアップ」が56.8%など、人手不足が背景の人材確保に起因するものが5割を超えた。一方で「業績がよくなった」は25.9%にとどまり、物価上昇や人手不足への対応として業績にかかわらず支給額を増やさざるを得ない状況も垣間見える。
パートへのボーナス支給では、パートを雇用している企業(193社)のうち71.5%が支給予定と回答。パート1人当たりの平均支給予定額(集計可能な90社の加重平均)は4万5058円だった。
同研究所は「支給予定額が前年夏とほぼ同じと回答した企業は半数を超え、物価高や原材料・エネルギー価格の上昇などの外的要因で、今後の業績見通しに慎重にならざるを得ない状況がうかがえる」とし、「光熱費や円安での食品などの値上げの継続も予想され、物価上昇に賃上げが追いつかず、消費拡大への波及効果は限定的なものにとどまる可能性が高い」としている。
調査は5月中旬から6月中旬にかけて奈良県内850社に郵送で実施し、270社から有効回答(31.8%)を得てまとめた。