太平洋の深海で静かに眠っていた「ゴジラ…
太平洋の深海で静かに眠っていた「ゴジラ」が、たび重なる水爆実験で目を覚ましたのは70年前。東京で暴れ回るが「酸素破壊兵器」で死滅する。
「水爆大怪獣映画『ゴジラ』」が公開されたのは1954年11月3日で、「文化の日」に合わせたという。背景には社会問題化していた米国の核実験があった。
テレビ番組「NHKスペシャル」(今月15日放送)に見入った。広島、長崎、第五福竜丸に続く、「第4の被曝(ひばく)」の実態に驚いた。
1958年7月の水爆実験で海上保安庁の測量船「拓洋」と巡視船「さつま」が被曝。翌年、「拓洋」乗組員の1人が急性骨髄性白血病で死亡した。番組は、その再検証だ。
米国側の新資料などを基に、被曝した乗組員の一部に起きていた異常の深刻さが明らかにされた。国家間に関わることとして「秘密」扱いだったことも分かった。
被曝の事実自体は『海上保安庁三十年史』(1979年、海上保安協会発行)でも記されている。ただ「人体及び船体への影響は、軽微なものにすんだ」とある。改めて初代「ゴジラ」の意味を考える。 (北)