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真っ暗闇な中で触れるご縁 戒壇巡り - お坊さんに聞く!奈良の寺社探訪【朝護孫子寺編その3】

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戒壇巡り

 今から850~900年前、根來寺(ねごろじ・和歌山県)を開創した覚鑁(かくばん)上人 が若い頃に信貴山で修行していました。上人は毘沙門天から如意宝珠(にょういほうじゅ=いかなる願望も成就するという不思議な玉)を授かったといわれています。如意宝珠は本堂の地下にお祭りされています。

 

 戒壇巡りは、地下へつづく階段を降り、真っ暗な廊下を進みます。

 

 

 右手を壁から離さないよう壁伝いに歩いていくと、生まれ年のえとの守り本尊が8体いらっしゃいます。

自分の生まれ年の守り本尊を確認してお参りします。さらに進むと、如意宝珠を納めた鍵に触れることができます。如意宝珠に触れると願いがかなうといわれていますが、この錠前に触れることにより同じ御利益をいただけるといわれています。

 

 

 松井介澄さん「触ればかなうわけではなく、そのチャンスがもらえるということです。かなえられるかは自分の行い次第です。真っ暗な道を進むことは、非常に仏教的な考え方ができます。見えない不安と向き合うことで見えることのありがたさも感じる。無明です」

 

ーー無明とは無知、知らないということです。調べてみると、「十二因縁では、すべての苦は、無明(迷い)を原因とする煩悩から発生し、知恵によって無明をやぶることにより消滅すると説く 」とありました。つまり、この暗闇は本当は見えているけど明かりがないだけの状態で明かりがあれば闇は消えてしまう。もともと闇などなかったと知ることができます。暗闇を進む途中で明かりに照らされた仏様に出会い、無明(迷い)の中の光を見つけ助けを示してくれているのです。

 

 実際に戒壇めぐりを体験してみて、暗い、見えないということがこれほど不安なのかと驚きました。それでも足を進めないと出口にたどり着きません。途中、仏様の明かりに出会った時、心底ホッとしました。手をあわせ感謝をし、再び進むのです。そして鍵に触れることができました。

 

 出口にたどり着いた時、自分にしかわからない何かを得ているはずです。その小さな気付きが、松井さんがお話しされたように願いをかなえるチャンスにつながるのではないかと感じました。無明の意味を知っていれば、60メートルほどを歩くだけで、これだけの学びを与えていただけます。迷いから光をみつける人生の縮図のような戒壇巡り、ぜひ体験してみてください。

 

 

信貴山 朝護孫子寺

奈良県生駒郡平群町信貴山

 

=第4話へつづく=

 

 

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