歴史文化
お大師さまが500番目に掘った井戸(奈良県斑鳩町龍田南1丁目) - 大和路の弘法大師<12>

各地に数多く存在する弘法大師伝説にちなんだ井戸。斑鳩町役場の国道25号をはさんだ向かいにある井戸は、一説によると弘法大師が500番目に掘ったものとされ「五百井戸」と呼ばれている。
この井戸は「伊勢物語」の主人公とされる在原業平が河内・高安山の河内姫のもとに通う途中、水面に自分の姿を映したという伝説にちなむ「業平姿見の井戸」の名称もある。
同町五百井(いおい)の地名も五百井戸に由来するとされ、良質で豊富な地下水は醤油づくりにも生かされている。
人々の暮らしを支える清水をくみ上げた石組みの井戸は、鉄製のふたがされた現在も地域の人々に大切にされている。(竹内稔人)