金曜時評

インフラの老朽化 最新技術活用で対策 - 編集委員 高瀬 法義

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 埼玉県八潮市の県道陥没事故の発生から、間もなく2カ月となる。転落したトラックに乗っていた男性運転手の行方は、いまだに不明のままだ。陥没の原因は道路下約10メートルに埋められた下水道管の破損と推定。同県が一時、12市町の約120万人に下水道の利用自粛を呼びかけるなど、住民生活にも大きな影響が出た。

 

 今回の下水道管は40年以上前の1983(昭和58)年に供用を開始し、老朽化が進んでいたとみられる。国土交通省によると、下水道管の総延長は2022年度末時点で地球12周分に相当する約49万キロ。このうち、約3万キロは一般的な耐用年数の50年を過ぎているという。下水道は高度経済成長期以降、全国で急速に整備されたため、今後老朽化も加速度的に進行する。

 

 国交省は事故発生直後、今回の現場と同様に周辺から汚水を集めて下水処理場につながる太い管路を管理する本県など7都府県に緊急点検を要請。本県では点検の結果、39カ所で空洞化の疑いがあることが分かった。今後も詳細調査を続け、必要に応じて補修を行う。さらに国交省は今月18日には1994年度以前に設置され、比較的大型とされる直径2メートル以上の管路計約5千キロを管理する467の自治体・広域自治体に、下水道管の状態を確認する「全国特別重点調査」を要請した。本県の自治体では県と奈良、大和郡山、生駒の各市、王寺町が対象となる。

 

 下水道管は汚水から生じる硫化水素で内部が腐食し、定期的な維持管理が欠かせない。点検は管理者である地方自治体が担い、腐食の恐れが大きい環境下にある管は5年に1回以上点検するよう義務化されている。しかし、点検にかかる経費は住民から受け取る利用料で賄うのが原則で、維持管理費の増大は事業の収支を圧迫しかねない。点検や補修業務を担う技術者も不足するなど課題は多い。

 

 老朽化が進むインフラは下水道だけに限らない。上水道や電気、ガスのライフラインのほか、道路の橋梁(きょうりょう)なども同じ課題を抱える。対策として行政の広域連携のほか、人工知能(AI)やドローンなどの最新技術の活用も積極的に図りたい。

 

 政府は今回の事故を踏まえ、国土強靱化(きょうじんか)推進の重点方針にインフラの老朽化対策を柱に据える。6月ごろ、国費に自治体支出分や民間投資を合わせた総事業費を含め実施中期計画を策定する予定だ。

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