県が前知事の時代から引き継いでいる事業…
県が前知事の時代から引き継いでいる事業の一つに「東アジア地方政府会合」がある。今年も5月、中国・陝西省西安市で第13回会合が開催された。
この事業は「平城遷都1300年祭」をきっかけに県が中心となって提唱した。地方政府レベルで共通する課題を議論し、行政能力を高めようというものだ。
1300年祭を契機にスタートした事業・組織は他にもあった。「編集工学」の提唱者で著述家の松岡正剛さんの死去を知り、一つ思い出した。
「日本と東アジアの未来を考える委員会」。幹事長が松岡さんだった。その研究活動の集大成が分厚い全5巻(別に概要版)の大著『日本と東アジアの未来を考える。』だった。
費用面のほか、県の事業として適切でないなどと批判を浴びた。関連する事業「弥勒プロジェクト」でも、さまざまな懸念・不手際が指摘された。
1300年祭を契機とした事業の「遺産」ということを思う。先に挙げた書籍は「あの戦争」にも1冊を割く。古代から現代までの歴史から何を学ぶか。その一つの試みを、忘れ去るのはもったいない気がする。(北)