「和」の場面にとらわれず コーヒーにも合う老舗の味を 千代乃舎 竹村
「千代乃舎竹村」(同市東向南町)は1701年創業と、奈良市で最も古くから営業する和菓子店。「老舗」の印象が先行するが、コロナ禍だったこの3年も前向きにとらえ、新たな職人を迎えて季節の生菓子を開発。甘味処を店内に新設するなど、新しい風を吹き込んできた。
平日午後、多くの客が訪れ甘味を楽しんでいく=奈良市東向南町の千代乃舎竹村
新たな技術と視点で、日常を彩る和菓子づくりを
同店で広報も務める竹村靖弘さん(38)は「時代のニーズに柔軟でありたい。『和』の場面だけにとらわれない菓子で、広く喜びを提供できれば」と話す。
竹村さん自身は、菓子作りとは無縁の船舶業界出身で、昨年奈良に戻り店に入った。業種は違っても、豊富な営業経験をもとに人一倍、安心や安全、お客様目線に気を配る。
「さるさわの月」など洋の要素を取り入れた商品は海外からのお客様にも喜ばれる、と竹村さん=同
果物や冷菓を積極的に取り入れ、季節らしさを提供
吉野葛、わらび餅など奈良の食材を使用した伝統的な和菓子も守りながら、近年は新しく加わった熟練の職人の力を借りて、より季節を感じてもらいやすい菓子づくりにも注力。
バターを使い風味豊かに仕上げた芋餡(あん)とバニラアイスを福良雀の最中(もなか)皮でサンドした「アイス最中」(230円・以下すべて税込み)、アーモンドが香るクッキー生地で洋風の白餡を包んだ「さるさわの月」(185円)、季節ごとのフルーツ大福など、お茶はもちろんコーヒーや紅茶にもマッチする商品を次々と生み出している。
昨年からの新作「アイス最中」、左は「さるさわの月」。抹茶とともにイートインで味わう人も多い=同
13代目が開発した鹿の焼き印入りの「奈良饅頭」は観光客にも人気。「鹿」が白餡、「林」が黒餡=同
また出来たての生菓子を店内でも楽しめるように新設したという甘味処では、ショーケースに並ぶ生菓子を選び、イートインで味わう人が絶え間なく訪れる。
同店利用は2回目という大阪府在住の本間磨由美さん、琉偉さん(22)親子は「落ち着いて利用できる座敷があるのもお気に入り。前回ホワイトチョコと白餡入りのいちご大福の味に感動して、また食べたくて訪れた」と、大福を前に満面の笑み。
いちごホワイトチョコ大福をはじめ、出来立ての生菓子が並ぶショーケース。現在いちごは古都華を使用=同
竹村さんは「ようやくこの界隈にも賑わいが戻り、お客様の反応を直に感じられるのがうれしい。最近は月に一度、林(りん)神社での菓餅講(くだものこう・菓子の勉強会)にも参加して、菓子店同士の横の繋がりも生まれてきた。まもなく執り行われる饅頭祭で初となる5店での饅頭作りに関われることも楽しみ。学びをもとに創意工夫し、和菓子で奈良を盛り上げていけたら」と語った。
「復刻奈良饅頭」販売
奈良市漢国町の林(りん)神社(漢國神社内)では、4月19日に饅頭祭が開催される。約670年前の南北朝時代に饅頭の文化を日本に広めた中国の僧、林浄因(りんじょういん)の偉業をたたえ、その命日の4月19日に菓子業界の繁栄を祈願し全国の銘菓が献上される。
千代乃舎竹村は、当日限定「復刻奈良饅頭」の製造を担う5店のうち1店。計500個・2個一組500円で販売。販売は午前9時から午後3時までで、売り切れ次第終了。
漢國神社公式WEBサイト:https://kangou-jinja.jp/
猿沢池の上空に浮かぶ名月をイメージしたという「さるさわの月」
千代乃舎竹村「さるさわの月」(6個入り)を抽選で5人にプレゼント。
(1) 奈良新聞のinstagramアカウント「奈良新聞の鹿好きさん」(@np_shikazuki)をフォローの上、
(2)「さるさわの月希望」のDM送付 で応募完了。
4月23日締め切り。抽選ののち、当選者のみにDMで連絡。非公開アカウントは抽選対象外。
企業情報
※記事公開時の情報です
<社名>
千代乃舎 竹村(ちよのや たけむら)
<住所>
奈良市東向南町22
<営業時間>
10:00-17:00
<イートイン>
可(座敷席・カウンター席あり)
<定休日>
木曜日(祝日は営業)
<電話>
<公式instagram>