古民家で味わう具だくさん味噌ラーメン!大和郡山の『らーめん春友流』の魅力に迫る - 奈良ラーメン探検隊がゆく
奈良のラーメンをこよなく愛する奈良新聞社員で結成した「奈良ラーメン探検隊」。今回ご紹介するのは、大和郡山市矢田町にある「らーめん春友流(はるともりゅう)」。家族団らんでラーメンを食べに行ける古民家ラーメン店です。
取材担当は隊長N。店主おすすめの味噌ラーメンの事、奈良市三条栄町から大和郡山市への移転理由についても伺ってきました。(報告、奈良ラーメン探検隊・隊長N)
ラーメン屋では珍しい古民家のお店
「らーめん春友流」は、紫陽花の開花で有名な矢田寺から西へおよそ1キロ離れた場所、「横山口交差点」に面した一角にあります。矢田寺へ訪れたことがある方は、目の前を通ったことがあるかもしれません。
暖簾をくぐって入店すると、広い玄関の右側に食券販売機があり、そこで商品を選び食券を購入します。 食券購入後、靴を脱いで家に上がり、案内されて座席へ。
店内にはいろんな座席が揃っています。お子さん連れの家族に嬉しいお座敷、ご高齢の方や足の悪い方が座れるテーブル席もあります。一人用の席もあって、どんなお客さんも入りやすくなっています。
この建物は元々普通の住宅でしたが、店舗にリノベーションを行われたそうです。リノベーション前の家で使われていた家具や置物の一部を、今も使っていて、店内の和やか雰囲気を演出しています。
店主の一押しは「味噌ラーメン」!
店主の一押しは「味噌ラーメン」ですが、メニューには、醤油ラーメン、旨辛系ラーメンやまぜそば、味噌カレーラーメンと…。ラーメンの種類が豊富でどれを注文すべきか迷ってしまいます。
特に、味噌カレーラーメンは他店でもあまり見かけないので気になります。店主の佐藤さんに、味噌カレーについて尋ねてみると、「カレーラーメンに味噌を入れているのではなく、味噌にカレーを入れている。これは、地元(北海道苫小牧)の味なんです」とのこと。春友流の味噌カレーラーメンは、店主の思い出の味を実現されたものだそうです。
味噌カレーも気になりますが、この日は、純粋な味噌ラーメンの取材がしたくて訪れたため、味噌カレーは次回に後回し。
今回は、具材が沢山入っている贅沢な「味噌ラーメン(全部のせ)」を注文しました!
スープは、塩辛くなく、甘みも感じる優しい味わいの味噌です。麺にもしっかりスープが絡んで美味しいです。
一番のこだわりは「麺」といえるでしょう。
西山製麺という北海道札幌市にある製麺所の麺を使用しています。奈良にずっと住んでいるとあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、「西山製麺の麺を使っている」という理由で訪れるお客さんもいるほど全国的に有名な製麺所です。県内で西山製麺の麺を使っているラーメン店はここだけです。
麺の種類は、味噌ラーメンに合う中太のちぢれ麺です。ラーメン特有の小麦感を感じるのに、食べ終えるまで麺が伸びにくい。取材時も麺が伸びない間に食べ切ることが出来ました。
頂いた味噌ラーメン全部のせ(税込み1,200円)に入っている具材は、チャーシュー2枚、煮卵、ひき肉、コーン、玉ねぎやもやしなどの野菜、きくらげ、カイワレ大根、ネギ、そして生姜です。この生姜が良いアクセントで、味を調えていました。札幌の味噌ラーメンには生姜が入る事が普通なのだとか。ちなみに春友流では、味噌ラーメンのトッピングでよく使われるバターは、味が変わるという理由から使用していません。
通常の味噌ラーメン(税込み950円)の場合、具材はチャーシュー1枚、ひき肉、きくらげ(全部のせよりは少なめ)、ネギと生姜になります。
奥様の発案した賄いラーメンが新メニューに採用
醤油と味噌は開店時からのメニューですが、今では、まぜそばや味噌カレーラーメン、辛い味噌ラーメンや旨辛醤油ラーメンなど、新しく開発されたメニューがいくつかあります。これらのほとんどが、奥様の要望に沿って作ってみて美味しかったのでメニュー化まで至った、という経緯なのだそうです。
店主に次の新メニューは考えていますか?と尋ねると、「妻に聞いてください(笑)」との回答。奥様、新しいラーメンを期待しています!
また例年、冬の期間限定で現れる牡蠣と白子を使ったラーメンについても「今年もやります」とおっしゃっていただきました。気になる方は、ぜひこれからの時期に訪れてみてください。
奈良市三条栄町から大和郡山市に移転した理由
「らーめん春友流」は以前、奈良市三条栄町にありましたが、2022年6月から大和郡山市矢田町でにお店を移してこられました。
移転のきっかけは、新型コロナウイルスの流行だったといいます。売り上げが減って協力金等のサポートも無く、どうしようかと悩んでいる中で、政府の事業再構築補助金制度を知り、それを活用して現住所で心機一転、「古民家らーめん春友流」をオープンされました。
奈良市三条栄町の時と今との違いについて尋ねると、「ファミリー層のお客さんが増えた。お子さん連れのお客さんが来てくれるのが嬉しい」とお答えに。今の店舗では、たまに家族三世代が集まってラーメンを食べに来ることもあるそうです。私は前の店舗にも行った事があるのですが、以前と比べて朗らかで明るいお店になった気がします。
ラーメン屋を続けるために、別の事業もスタート
今、物価高騰や外食機会の減少によるラーメン屋の廃業のニュースをあちこちで耳にします。
らーめん春友流さんが置かれている環境も例外ではなく、やむを得ずラーメン代の値上げして現状に対抗されてきました。
また、今年11月からは同じ大和郡山市内で、旅館業を始められます。店主の佐藤さんは「うちだけでなく他の店舗さんも同じだと思いますが、ラーメンだけでは厳しいんです。他の事業で補っていかないと。」と嚙みしめるように語られました。
「らーめん春友流」は美味しい味噌ラーメンが食べられる、心地よい雰囲気が魅力のお店です。家族でも、ひとりでも、ぜひ気軽に足を運んでみてください。
※値段やメニューや店舗情報は取材当時のものです。
(文・写真 奈良ラーメン探検隊隊長N)
店舗情報
<店舗名>
らーめん春友流
<住所>
奈良県大和郡山市矢田町4574ー1
<営業時間>
昼:午前11時~午後15時
夜:午前17時~午後20時(火曜・水曜・土曜のみ)
※変更の可能性があります。公式SNSでご確認ください。
<定休日>
金曜日
<駐車場有無>
店前4台/第二駐車場6台
<公式SNS>
訪問メモ
【注文方法】
食券購入
【支払方法】
クレジットカードや電子決済=不可。現金のみ
【メニュー】
味噌ラーメン950円、醤油ラーメン950円など
【店舗メモ】
●座席数 22席(テーブル、座敷)
●車イス=入店不可
●子ども椅子=あり
奈良ラーメン探検隊
【隊長N】
ウェブ制作担当。ラーメン好きのあまり、奈良のラーメンを紹介する企画を社長に直訴したところ、隊長に任命される。
- 【奈良ラーメン探検隊の記事】
- 第1回 奈良富雄の「ラーメン家みつ葉」
- 第2回 近鉄奈良駅の「鶏next」
- 第3回 奈良市大宮町の「梅光軒」
- 第4回 磯城郡田原本町の「暁製麺」
- 第5回 天理市の「麺食堂88」
- 第6回 大和高田市の「おダシと銀しゃり 中華そば 蒼し」
- 第7回 天理市の「豚菜館」
- 第8回 香芝市の「麺の道 あをによし」
- 第9回 大和郡山市の「らーめん春友流」