金曜時評

裏金で自民惨敗 堀井議員の覚悟は - 論説委員 甘利 治夫

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 決選投票によって第2次石破内閣が発足した。日本維新の会や国民民主党などによる84票の無効票がなければ石破政権は誕生しなかった。これから何が起こるか分からない、それほどあやうい状況にある。

 

 単独でも過半数を占めていた自民党が、先の総選挙で惨敗し、与党を組んでいる公明党も敗れたため、合わせても過半数割れとなった。本来なら政権交代となるところだが、50議席増やして148議席とした立憲民主党が野党をまとめきれず、少数与党による石破政権の継続となった。

 

 今度の選挙で何が問われたかは明らかだ。

 

 いわゆる裏金問題に対して、国民の怒りが選挙結果となった。経済対策や国の安全などにも関心は大きかったが、それ以上に「政治とカネ」に敏感だった。議席を減らした公明党と日本維新の会は党首交代の事態となっているのに、大敗した自民党は表立って「石破おろし」の声も上がらず、続投というのだから国民の目にはおかしく映っている。

 

 裏金議員に対して、離党勧告や党員資格停止、役職停止などの党内処分を一度は決めたが、世論の厳しい声を知るや、総選挙公示の直前になって、非公認や小選挙区における重複立候補を認めない処置をとった。立候補を断念した議員もいたが、46人のうち28人が落選という厳しいものになった。

 

 当選組は「みそぎ」が済んだとは思っていないだろうが、落選組は国民の怒りの大きさを身に染みたに違いない。これから本格的な政治改革論議がされよう。

 

 裏金議員は参院議員にもおり、当然、来夏の参院選でも問われる。離党勧告だけでは処分が甘かったのだから、国民はもっと厳しいものを求めている。それだけに早々と第1次公認を発表した裏金議員に対する対応が問題になる。衆院選直前に非公認などの処分を決めたのだから、参院選でも、その整合性が必要だ。

 

 これまで裏金議員として県選出の堀井巌、佐藤啓両参院議員を問題視してきた。

 

 堀井氏は公認も発表されただけに、1000万円を超えるという過去5年以前を含めた裏金の総額、そして使途はどうか。改めて記者会見するなどして、県民や党員、支持者への説明をすべきではないか。内輪の会合や一部の知人への陳謝だけだ。党が危機的状況にあるのだから、「議員辞職して出直す」ほどの覚悟があるなら、党とともに信頼も取り戻せよう。

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