総選挙が終わった。選挙期間中、よく耳に…
総選挙が終わった。選挙期間中、よく耳にした候補者、政党の訴えに賃金引き上げがあった。
政府も音頭を取った賃上げが物価上昇に追いついていないとし、さらなる賃金アップを図るとしていた。最低賃金の大幅引き上げの数字を示す政党もあったが、果たしてどうなるか。
県内は中小、小規模事業者が多数を占める。県内経済団体・機関の話では、県内事業者は賃上げに意欲はあれど、原資をねん出できず、未実施の場合も多いという。
理由の一つは、コスト上昇分を販売価格に転嫁できていない実態がある。帝国データバンク大阪支社の調べでは、7月時の近畿2府4県の企業の価格転嫁率は約46%。奈良は最も低く、唯一40%を切った。
県内では10円玉数個の時給アップが人材確保を難しくし、人手不足に拍車をかけていると聞く。人の不足が収益力に負の影響を与えているとも。
国も中小企業の価格転嫁促進を支援するが、数字からは順調とは言い難い。賃金上昇の主張に票を投じた有権者もいただろう。労使双方に利のある施策実現に労を尽くさず、言いっぱなしでは困る。(智)