古来、合戦の戦死者は過去帳形式の「討死…
古来、合戦の戦死者は過去帳形式の「討死注文」に記録され、負傷者の名も「手負い注文帳」に記された。手柄があった武士には感状を出して褒美(ほうび)を与えた(笹間良彦「図説日本戦陣作法事典」)。
一方で厳しかったのが陣中のおきてで、豊臣秀吉は陣中を見回る近習が手を抜いたり油断したりした場合、敵前で磔(はりつけ)か斬罪にするとして陣中を引き締めたという。
時代は変わって自民党の総裁選。一つの椅子を巡って9人が争い、恩賞感の強い石破内閣が誕生した。
大将である石破茂首相は4日の所信表明演説で裏金議員への対応について、「一人一人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げる」と力を込めた。
当の議員にしてみれば「はい。分かりました」で済む話で、党内が引き締まるとはとても思えない。国民の理解はなおさらだ。
衆院選対応では原則公認から一転、地元の理解が進んでいない場合は非公認の対象とする方針を示したが、自身の信念はどこにあるのか。くるくる回る風見鶏では国民も党内も混乱するばかりだ。(増)