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金曜時評

いまさらの戦後考 戦後世代と戦中派 - 特別編集委員 北岡 和之

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 8月。やはり戦争と平和のことが思い浮かぶ。ロシアのウクライナへの軍事侵攻は2年半近くになり、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘も続く。もちろん、戦争・紛争は他にもある。なぜ戦争はなくならないのか。どのようにして戦争は起きるのか。

 

 そもそも戦争はなくならないとする見方を認めないとすれば、私たちはどうすればいいか。わが日本国での直近の戦争は第2次世界大戦(太平洋戦争)で、1945(昭和20)年に終戦した。わが国は「敗戦国」だった。以来、わが国は戦争をしていない。来年は戦後80年を迎える。まずこのことをしっかり記憶にとどめたい。

 

 ただし、戦争のない時期が続いてきたことを単に喜ぼうという意味ではない。敗戦国だったこと、戦前と戦後のこと、憲法(特に第9条)のことなどを、改めて国民全体で考えようということだ。戦後生まれの人口が9割近くに達する現時点において、改めて歴史的に(歴史認識として)、戦後世代があの戦争を考える意味・意義は大きいのではないかと思う。

 

 さらに私的なことを付け加えるとすれば、あの戦争を「戦中派」として通過し、戦後に生き延びた亡父の子どもの一人として、考えたい。今や戦中派の子どもたちも次第に数が減ってきた(私も70歳を超えている)から、切実感が増してきたのかもしれない。

 

 個人的な感想として、戦後に生き延びた戦中派の人たちは多くを語らないで来たと思う。亡父もそうだった。記憶に残っているのは「あの戦争で死ぬつもりだった」と語ったことぐらいしかない。もっと聞いておけばよかった…。

 

 戦後世代はあの戦争を体験として持っていない。当たり前だ。その一人である高市早苗・経済安全保障担当大臣(衆院県2区)は、あの戦争での「反省」ということを巡って、戦争当事者の世代ではないから反省はしないし、反省を求められるいわれもない、といったことを述べ、注目されたと記憶する。30年ほど昔のことだ。

 

 高市氏は、戦後世代の現職国会議員の中では戦争や憲法について最もよく学び、考え、積極的に発言してきた一人だと思う。そのこと自体は高く評価されていい。

 

 だが私は、あの戦争での反省を求められるいわれはあると思う。歴史認識として、そう思う。国家の基本権とされる「交戦権」と矛盾する憲法9条の存在についても、考え方は異なる。理念と現実問題との区別の意味においてである。このこだわりは捨てられない。

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