金曜時評

県議会改革の推進 あすの県づくりへ - 論説委員 松井 重宏

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 4月に改選された県議会の特別委員会設置が遅れている。4年前は改選後、最初に開かれる臨時議会の前に設置が決まったが、今回は知事交代を踏まえ、委員会で取り上げる課題や設置の是非も含めた各派間の調整が継続。結論は6月定例会に間に合わなかった。

 

 そうした中、今月27日に開かれた県議会改革推進会議で田中惟允委員長が、同会議で取り上げる新たな項目として、予算審査特別委員会の常設化▽委員会の代理出席制の導入▽通年議会の実施―の3件を提案。まだ協議の俎上(そじょう)に乗るとは決まっていないが、新たな県議会のあり方を探る意欲的なテーマと言えそうだ。

 

 特別委員会は、所管事務別の設置が条例で規定されている常任委員会とは違い、必要に応じて議会が議決して設ける制度。昨年度までは「南部・東部地域振興」など県政の重要課題ごとに5委員会を置いていたが、日本維新の会は「正副委員長ポストを確保するために設置されている面がある」などと批判。また議会の一部には、山下真知事の県政改革を集中的に審議する特別委員会の設置を探る声もあったが「なじまない」として反対していた。

 

 一方、予算審査特別委員会は県の当初予算案、補正予算案を審議するのが目的で、同案が上程される都度、設置。現状は9月と3月の定例会だけでの開催だが、審査対象が幅広い予算委を常設化すれば県政の施策を審議する機会を大幅に増やせるだろう。

 

 県政は今回の統一地方選で大きな転換点を迎えた。現職らを破って日本維新の会の新人、山下氏が知事選で勝利。県議選でも新旧交代が進み、議員の顔ぶれや勢力図が大きく変わった。知事与党の日本維新の会が改選前3議席から14議席に躍進する一方、自民党も会派分裂を解消して議会の過半数を持つ統一会派を結成。少数会派や無所属議員も埋没しないよう発言機会の確保を探っている。だから県議会の改革は必須だ。

 

 山下知事が就任と同時に、大型事業の一部について本年度予算の執行停止を打ち出した「5・8ショック」から間もなく2カ月。だがブレーキは踏んだものの、かじをどう切るのか。今後の検討や協議に持ち越された課題も多く、6月県会の本会議だけでは県政の未来像が明確になってこない。もっと議会で揉む必要がある。

 

 これまで県議会改革推進会議はICT(情報通信技術)化の議論が中心だったが、新たなテーマの投げ掛けに注目が集まる。

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