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金曜時評

市民の審判に従え - 主筆 甘利 治夫

 新型コロナウイルスで耐え忍んできた市民が、変化を求めて明確な審判を下した。 

 橿原市の市議会議員選挙は、7日に投開票され、23人の議員が誕生した。同選挙は30人の争いとなり、新人7人が当選し、現職5人が落選した。30代、40代の新人の伸長が目覚ましく新旧交代を印象づけた。

 当選者を政党別にみると、自民が推薦を含め8人、立憲系が5人、公明4人、維新2人、共産1人で保守系無所属は3人。会派構成が注目される。

 この間、議会の混乱ぶりが指摘されてきた。一昨年の市長選で、現職の森下豊氏を、自民推薦の新人・亀田忠彦氏が破り、そのしこりが議会に混乱を招いた。前回選挙で僅差で敗れた自民が亀田氏を推薦したのに、党所属の一部の議員が、現職支持に動くという分裂選挙を演じた。亀田市長誕生後もその構図が残ったため、今度の市議選で市民の審判を仰ぐことになった。

 当選者の顔ぶれを見ると、亀田市長派とみられるのは、自民現職と推薦および無所属で7人、そして公明4人で合わせて11人。これまで反市長派とみられるのは、無所属を含む立憲系が5人、共産1人、保守系無所属が2人。そして自民現職2人の計10人。両派とも過半数に達しない。残る維新の2人は是々非々の立場という。

 コロナ禍の銀座問題で与党が批判を浴びた。しかも地元の衆院3区の田野瀬太道氏が当事者で、自民離党という処分となり、選挙に影響したといわれる。自民候補は軒並み下位当選で、現職2人を落とした。しかし、同じ問題で、議員辞職に追い込まれた公明は4人全員が当選、批判した共産は3人立てて2人が落選した。

 下位での当選となった人や落選組は、この問題が言い訳にならない。反市長派の現職3人が落選したことから、市民は、これまでの議会に嫌気がさしていたことが分かる。

 中南和地域の核となる橿原市がフラフラしていてはなるまい。市長選のしこりや、好き嫌いで活動することは許されない。それこそ市民が選挙で示した意思に反する。周辺市町村に影響を与えることを自覚してもらいたい。身近な問題は当然だが、橿原市議は県および中南和地域全体のことを常に意識すべきだ。

 そこで維新の議員の責任は大きい。大阪をみれば分かるように、大局的な判断は長けているようだから、それを信じたい。

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