沈む立民、探る再建 候補一本化など課題 参院選振り返って馬淵氏と西田氏に聞く - 参院選2022
10日に投開票された参院選で、立憲民主党は奈良県選挙区(改選1)の候補が自民党、日本維新の会の候補に続き3番手。県内の比例票も前回2019年の参院選と同様、公明党の得票を下回り、4番手に沈んだ。国会では野党第1党として「政権交代可能な受け皿」を目指す立場だが、県内でも選挙直前に国民民主党県連が旗揚げするなど、かつての旧民主党勢力の姿はない。党中央の泉健太執行部の責任論もくすぶる中、選挙区での敗北が決まった10日夜、党執行部のメンバーでもある馬淵澄夫県連代表(党国対委員長)、また立民を支える連合奈良の西田一美会長に選挙戦を振り返ってもらった。
早々に県選挙区の敗戦が決まった直後、報道陣の取材に応じた馬淵氏は「まだ全体像は分からないが」と前置きした上で、「物価高▽年金の切り下げ▽賃金が上がらない―の3点を争点に掲げ、われわれはそれへの具体策も提起した。メッセージは正しかったし、反応も徐々に出てきていた」と振り返った。
選挙戦終盤で安倍元首相の銃撃事件は起きた。事件が有権者の投票行動に影響を及ぼすことはあったのか。馬淵氏は「分からない。有権者の判断だし、内心まで踏み込めない。ただ、はっきりしているのは昨年の衆院選でも立民(の得票)は自民、維新に続き3番手だった。今更驚くことではない」と冷静な受け止め。「一国の総理だった方が卑劣な蛮行、凶行で命を失われた。そのことをもって選挙を語るべきでないと思う」とも述べた。
ただ、事件後の選挙活動には苦心したようで「与党が『テロに屈しない』というのは分かるが、(野党の)自分たちが当事者になり替わったような発信の仕方は避けようと。われわれは政治家。政策を伝えるしかない」と政策宣伝に集中したことを明かした。
一方、今回県選挙区では立民を推薦した連合奈良。国民が独自候補を立てず、表面上「また裂き」は回避できたものの、産別ごとにそれぞれ立民、国民の組織内候補を抱えるなかで、どこまで結束できたのか、やはり疑問は残る。
西田氏は「分析はこれからだが、連合としては全会一致で県選挙区は立民と決まった。(各産別も)取り組んでくれたと思う」とコメント。馬淵氏も「(国民は)もともと同志だった方々。溝は感じていない」と言葉を選んだが、「一日も早く(旧民主で)結集しないといけない。西田会長にも頑張っていただかないと」と橋渡し役を果たすよう、注文も忘れなかった。
参院選の開票結果は序盤から自民優勢となり、立民には今後、地方を含め組織立て直しの課題が浮き彫りとなった。また、今回の参院選に見られた野党乱立、県選挙区では見送られた「候補一本化」など、検討すべき問題は多い。
馬淵氏は「野党第1党として当然その責務は果たすが、“大野党”とは言えない現状になった。慎重な調整も必要だろう。今後さらに流動化する事態になった時は、われわれがその中心になってまとめ役になる」と決意を示した。