【動画あり】佐藤氏、大差で再選 共闘なく批判票分散 奈良県選挙区 - 参院選2022
第26回参議院議員通常選挙は10日、全国一斉に投票、即日開票され、県選挙区(改選数1)は経済再生や防衛力強化、社会保障の充実などを訴えた自民党現職の佐藤啓氏(43)=公明党推薦=が、野党勢の新人5人の挑戦を退け再選された。8日に奈良市内で街頭演説中の安倍晋三元首相が銃撃され死亡する事件が発生、県民に衝撃が広がる中での投票となった。県選挙区は野党共闘が実現せず、与党に対する批判票が分散。また銃撃事件による影響もあったとみられ、自民党が4連勝を果たした。投票率は55・90%で、前回(49・53%)を6・37ポイント上回った。
新人勢では日本維新の会の中川崇氏(36)が、6年前の前々回選挙で同党候補が集めた得票を大幅に上回る勢いで善戦。これに対し立憲民主党の猪奥美里氏(42)は前回、同党などが擁立した野党統一候補の実績から後退を余儀なくされ、共産党の北野伊津子氏(46)も支持を伸ばせなかった。参政党の中村麻美氏(43)、NHK党の冨田哲之氏(70)は届かなかった。
投票は県内728カ所の投票所で午前7時から始まり、繰り上げ閉鎖された山間部などの114カ所を除いて午後8時まで行われた。続いて開票作業は県内39市町村で午後8時以降、順次始まった。
県選挙区では午後8時ごろ、報道各社が事前の情勢分析などをもとに佐藤氏の当選確実を報じた。同氏は1期6年の実績を踏まえ、序盤から優勢に選挙戦を展開。奈良市などで野党候補の追い上げを受け、中盤以降は陣営の引き締めに奔走する場面も見られたが、最後は突き放した。
選挙戦最終日の9日は安倍元首相の銃撃事件を踏まえて街宣活動を自粛。再選を決めた10日もバンザイなどは行わず、報道会見で厳しい表情のまま、2期目に向けた決意を語った。
維新の中川氏は、昨年10月の衆院選比例代表で県内得票2位となった同党の勢いを維持。一方、前回選挙で統一候補を立てた旧民主党勢力や共産党にとっては厳しい結果となった。改めて国政選挙での野党共闘の意義が問われるとともに、来春の知事選、県議選に向けた体制の立て直しが迫られそうだ。
3年前の前回選挙で5割を切った投票率は前々回の56・89%には届かなかったものの55・90%まで回復、下落基調に一定の歯止めがかかった。
<