維新、奈良選挙区でも勢い - 参院選2022
【解説】今回の参院選は物価高騰への対策を最大の争点に、コロナ禍からの脱却や安全保障問題、憲法改正などについて各陣営が舌戦を展開。奈良県選挙区は外交、経済再生、社会保障の充実などを訴えた自民党現職の佐藤氏が、全県的な組織力にも支えられ再選を果たした。最終盤に奈良市で起きた安倍元首相に対する銃撃事件の衝撃も、選挙結果に影響したとみられる。
物価対策では消費税減税を訴えた野党勢の政策に支持が広がったが、背景にあるロシアのウクライナ侵攻など国際情勢の緊張が、政権安定を志向する動きにもつながった。
また前回選挙で無所属の統一候補を擁立した野党勢は今回、立憲民主党が猪奥氏、共産党が北野氏をそれぞれ公認。5月に県組織を立ち上げた国民民主党も独自候補こそ見送ったものの自主投票を決めるなど共闘の枠組みが事実上崩壊、政権与党に対する批判票が分散した。
一方、昨年10月の衆院選比例代表で県内得票2位となった日本維新の会は今回、選挙区でも中川氏が勢いを見せ、自民現職を追撃。投票日直前に起きた元首相銃撃事件で政権批判の追い風が鈍ったが、与党に代わり得る勢力として一定の評価を集めた格好。
今回の選挙結果は、来春の知事選、県議選などにも影響が及びそうだ。
佐藤氏に対しては、これまでの1期6年間の実績が見えにくいという指摘もあり、県内有権者の付託に応える活動を、改めて期待したい。(松井重宏)