自民現職 組織戦でリード 維新・新人が猛追、続く立民・新人 - 参院選2022 奈良県選挙区 終盤の情勢
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10日に投開票される参議院議員選挙で、奈良新聞社は本社や共同通信による世論調査、各陣営に対する取材などをもとに、奈良県内の選挙情勢を探った。6候補が争う県選挙区(改選数1)は、組織力で勝る自民党現職の佐藤啓氏(43)=公明推薦=がリードし、日本維新の会新人の中川崇氏(36)が猛追。立憲民主党新人の猪奥美里氏(42)が続き、共産党新人の北野伊津子氏(46)、参政党新人の中村麻美氏(43)、NHK党新人の冨田哲之氏(70)が追いかける展開となっている。ただ本社世論調査では約4割が投票先を決めておらず、情勢は流動的となっている。
佐藤氏は県1~3区の衆院議員や党所属の地方議員を軸に組織戦を展開。自民、公明支持層の約6割を固めた。ただ維新の猛追に警戒感を強めており、選挙中盤以降、企業回りやスポット演説を増やして票固め。陣営は「風に影響されることなく、外交政策など党の強みを発信していく」と話し、最終盤は大票田の奈良市で票の掘り起こしを図る。
中川氏は地方議員を中心とした少数精鋭でスポット演説やビラ配り、電話作戦など「選挙の基本」を忠実に実践。一方で松井一郎党代表や吉村洋文党副代表の来援による空中戦も展開し、幅広い層への浸透を狙う。陣営は「投票率が上がれば無党派層を取り込める。中南和で自民との票差を縮めることができれば勝機はある」と攻めの姿勢を貫く。
猪奥氏は党支持者の票をまとめる。推薦する連合奈良のてこ入れで旧民主党勢力の結集を図るが、自主投票を決めた国民民主党の支持層をどこまで取り込めるか。1日70~80カ所のスポットをこなし、馬淵澄夫衆院議員もできる限り地元に張り付く。陣営は終盤手ごたえを口にし、猪奥氏は「物価高の中で年金が引き下げられた。怒らないといけない。躊躇(ちゅうちょ)してはいけない」と訴えている。
北野氏は駅頭などでの街頭演説や集会をこまめにこなし、軍事費倍増反対、消費税率引き下げなどを訴える。ただ広がりを欠いており、7日には小池晃党書記局長が来県して支持拡大を訴えた。今後は人の集まるターミナルなどでの訴えを増やしていく予定で、陣営は「さらに軍拡反対や消費税減税の訴えを浸透させる」と力を込める。
中村氏は奈良市西部や生駒市、橿原市など無党派層の多い人口密集地を中心に回る。序盤は党の知名度の低さから苦戦していたが、徐々に上がってきており、公示前に70人程度だったボランティアスタッフは2倍以上に増えた。中村氏は「政治に参加しよう」と呼びかけ、教育改革や食料の自給率向上を訴えている。
冨田氏は自宅のある名古屋市と行き来していたが、3日以降は県内に腰を据えて活動。鉄道駅周辺での街頭演説を中心に、選挙制度改革などを訴える。
本社世論調査の政党支持率を見ると、自民が28.75%と最も多かったものの、前回(2019年)調査に比べ5.75ポイント下落。同党と連立を組む公明は4.50%だった。
野党では3年前は立民が最も支持率が高かったが、今回の調査では維新が10.0%とトップ。次いで立民5.25%、共産3.25%と続いた。支持政党なしは42.75%だった。
各陣営とも投票日に向けて最終の追い込みを追い込みをかけており、いかに有権者の関心を掘り起こせるかも注目される。