夏休みが終わる頃には毎年、学校に行きづ…
夏休みが終わる頃には毎年、学校に行きづらくなる子どもの話題が出る。死を選ぶ最悪の場合もある。
永六輔さんの「学校ごっこ」(NHK出版)に、小学5年生時に不登校気味だった俳優の岸田今日子さんのエピソードがある。母親に諭され、夏休み明けに渋々登校すると、日記帳など休み中の宿題が机の中に手つかずで残っていた。
担任教諭にやむなく白紙の日記帳を見せると、担任は「日記をつける暇がないくらい楽しい夏休みだったんだね。本当によかった」と笑顔を見せ、全てのページに丸を付けた。岸田さんは、あすからこの先生のいる学校に来ようと思ったという。
こんな対応は現代では難しいのかもしれない。だが周囲の人間は、子どもが学校に行くきっかけになる懐深い心根を失わずにいたい。
夏休み中の県教育研究所の不登校のセミナーでは、不登校を成長過程での発達課題と捉える必要性を指摘。子ども自らが行動を起こすまで待つ姿勢が重要とも説いた。
無理強いは心の負担になり予期せぬ結果を招きもする。信じて待つ事の難しさは誰もが知っているけれど。(智)