公立図書館が設置されていない市町村は全国の2割以上で、市を除いた町村に限ると4割を超える。学校図書(図書室)の充実ぶりにも地域差があるとの記事が本紙(19日付)にあった。

　本好きにとっては衝撃的な数字である。筆者の住む町は図書館こそ存在するものの、近隣町に比べ質量とも著しく劣っていて、格差をつねに感じている。

　わが町は近年、人口減が課題であり若い世代の流入を目指しているが、図書館がこのままでは前途は明るくない。居住地選択で図書館が占めるウエイトは小さくないからだ。

　県全体の人口は減少しているが、県内でも人口増または微減にとどまっている自治体は図書館運営が充実しているところが多いとみるのは、活字人間の偏見だろうか。

　単なる謎解きではなく、社会の不公平や不正を訴える社会派推理小説家・松本清張の全集が中学の図書室にあって、夢中になって読んだ。新聞記者になった原因の一つだ。

　読書は人生に大きな影響を及ぼす。教育無償化や子育て補助金も大切なのだろうが、人はパンのみにて生きるにあらず。(栄)