響く喜びの歌声 奈良市・高の原コーラスがコロナ禍を乗り越え4年ぶり合同合唱

奈良市社会福祉協議会が主催する高の原文化講座のコーラス講座「高の原コーラス」。歌うことを愛する中高年の女性としたメンバーが集まる。先月、新型コロナウイルスによる感染予防のため二つに分けられていたクラスが約4年ぶりに合同で合唱。約140人が喜びの歌声を響かせた。
高の原コーラスは指定管理者が市総合財団の頃から18年間続く講座。奈良市北部会館市民文化ホール(同市右京1丁目)で月2回練習を重ねている。参加者は50~80代の女性が中心で、高の原駅での合唱発表や地域の学生らと歌唱するなど純粋に歌うことを楽しむメンバーが交流する人気講座で、一時は受講者が200人まで増えた。
しかし、2020年9月、新型コロナウイルスによる感染拡大のため休講が決定。講師・指導を務める上司直子さんは「ハミングや楽曲の解説など声を出さずに何ができるか考え続けた3年だった」と空白の期間を振り返る。
合唱は数ある講座の中でも再開が遅れ、23年9月、3年ぶりに様子を見ながら再開。一緒に集まる人数を減らすため2クラスに分けて活動を続けてきたが、今年2月13日にようやく合同練習を実施して全員で歌うことがかなった。
この日は、「おぼろ月夜」や「ふるさと」など童謡・唱歌のほか、谷村新司さん作詞作曲の平城遷都1300年祭の公式テーマソング「ムジカ」など約10曲を合唱した。
同協議会同会館主任の細田晋一さんは「久しぶりに顔を合わせるメンバー同士の温かいふれあいが見られた。皆さんが純粋に音楽を楽しんだとてもいい合唱だった」とにこやかに語る。
上司さんは「コロナという恐ろしい時間で亡くなった人、辞めてしまった人、今も悲しさを抱えたままの人もいる」と振り返り、「特別なことではないけれど形として一つに戻った大切な日。みんなで歌えることは当たり前ではないことを学んだ時間を忘れずにいたい」と強調する。
コロナ禍を超えたそれぞれの思いが新たなハーモニーを生み、4月からはほぼ休講前の形態で講座が始まる。新たなメンバーも募集中だ。