出家者の使命確認 奈良で全真言宗青年教師布教研修会 仏教と福祉の歴史講演
第59回全真言宗青年教師布教研修会(真言宗布教連盟主催)が13日、奈良市西大寺芝町1丁目の西大寺で始まった。同宗の主要16派、総大本山18カ寺から32人が研修生として参加。同寺と東大寺(奈良市雑司町)を会場に15日までの3日間、布教の実演をして講評を受けたり講演を聴講したりして研さんを積む。
開会式のあいさつで西大寺の松村隆誉長老は「たくさんの学びと反省を得られて、社会の光明となっていただきたい」と期待。真言宗各派総大本山会の菊入諒如事務局長は「宗徒としての勉強の糧にしていただければ」と呼びかけた。
同寺の辻村泰範執事長が「奈良仏教と福祉」と題して講演。飛鳥時代に聖徳太子が四天王寺(大阪市)に設けた四箇院や、鎌倉時代の僧忍性が設立した初のハンセン病療養施設など、仏教が福祉と深い関わりを持ってきた歴史を説明した。
戦後の奈良でも、壷阪寺(高取町)の日本初の盲老人ホーム壷阪園や、芳徳寺(奈良市)の知的障害児施設成美学寮、宝山寺(生駒市)の児童養護施設愛染寮(同寺福祉事業団)、東大寺整肢園(同寺福祉療育病院)が創設されたことを紹介。「僧が直接福祉に関わってきた」と述べ、出家者が生きとし生けるものを救う使命を説いた。研修生は真剣な表情で講演に聞き入っていた。