維新の山下氏が出馬表明 「県初の民間出身のリーダーに転換を」 - 奈良県知事選
任期満了に伴う奈良県知事選(3月23日告示、4月9日投開票)に31日、元生駒市長で弁護士の新人山下真氏(54)が、日本維新の会の公認で出馬することを正式に表明した。知事選出馬は2015年以来2度目となる。知事選にはこれまで、元総務官僚の新人平木省氏(48)と、5期目を目指す現職荒井正吾氏(78)が立候補を表明。「自民分裂」選挙の様相を呈しているが、知名度のある山下氏の参戦で激戦に拍車がかかるのは必至だ。
同日、日本維新の会の馬場伸幸代表(衆院議員)と奈良市内で会見した山下氏は、公共事業を含めて徹底した行財政改革を行って財源を捻出し、0~2歳児までの保育料無償化や、公私立高校授業料の所得制限なしの無償化を進めると表明。「官僚出身者らによる県政から、県初の民間出身のリーダーに転換を」と訴えた。
山下氏は、「(8年前の)知事選で敗れた後、一県民として荒井県政を見つめてきたが、知事の独断専行的な姿勢はますますひどくなっている」と現県政を批判。県コンベンションセンター(奈良市)や奈良公園バスターミナル(同)、なら歴史芸術文化村(天理市)をはじめ、荒井知事の「肝いり事業」について「必要性や費用対効果の検証が非常に不十分」などと指摘。
さらに、批判の矛先は五條市の大規模防災施設や近鉄奈良線の移設、リニア新駅から関空を結ぶ鉄道建設、大和平野田園都市構想にも向けられ、「必要性、実現性に疑問を持っており、検証の上、改めて方向性を示したい」とした。
また、平木氏についても、「荒井氏の大規模プロジェクトを引き継ぐ立場。荒井県政からの転換は期待できない」と切って捨て、「これからは限られた財源で県民目線の費用対効果の事業を厳選して実行する経営者感覚が県のトップに求められる。行政経験があり、弁護士事務所を経営、企業の顧問弁護士を務める私の経験と知識を、県政の発展に生かしたい」と述べた。
維新の公認を選択したことについては、「私が目指す県政改革の方向性と一致している」と説明。
馬場代表も「奈良は一昨年の衆院選、昨年の参院選でも党への支持が高く、1年ほど前から知事選に向け地元と協議してきた。地域の政治を変える近道は首長選」とし、「山下さんが維新のスピリッツを受け止め、納税者が納得できる新しい政治をすると手を挙げてくれた。県政を継承するか、一度新しい政治にチャレンジするかが、今回の最大の焦点。県政が大きく変わるかどうかの戦いだ」と述べ、全面バックアップする姿勢を強調した。
選挙選での自民分裂の影響について、山下氏は「あると思うがどんな票の出方になるか分からない。気を引き締めたい」と緊張感をのぞかせた。後日、知事の退職金は受け取らないなどの公約を発表するとした。
山下氏は山梨県出身。東京大学、京都大学卒。朝日新聞社を経て弁護士となり、2006年から生駒市長を3期務めた。15年に知事選、17年に奈良市長選に出馬し落選した。
このほか、知事選には共産党も候補者擁立を急いでいる。