後南朝遺品に参拝 川上で朝拝式
吉野に逃れて南朝再興を図った後南朝を守護した川上村郷士の子孫らが、後南朝遺品に新年拝賀する「朝拝式」が5日、同村神之谷の金剛寺で行われた。
後南朝は長禄元(1457)年、後亀山天皇のひ孫の自天王が逆臣に命を奪われて終わったとされる。村朝拝式保存会に伝わる由来書によると、川上村の郷士は自天王の首を奪い返して金剛寺に埋葬したといい、朝拝式は今年で565回を数えた。昨年に続き、新型コロナの感染拡大防止で出仕人を保存会の役員12人にとどめ、一般見学も中止した。
境内にある自天王神社に参拝した後、遺品と伝わるかぶとやよろいの大袖(重文)を収めている宝物殿の扉を開き、賀詞を述べて拝礼。弟宮の陵墓にも参拝した。裃(かみしも)は風雪に震え、雪を運ぶ下駄が重たい厳しい状態での開催。保存会総代長の下西昭昌さん(78)は「身が引きしまり、お朝拝にふさわしい1日」と背筋を伸ばし「粗相(そそう)のないようにお守りし、次の世代に引き継いでいきたい」と話した。