撮りためた鹿作品、診療所で披露 松永さん個展 奈良市芝辻町で1月16日から
奈良の鹿を撮るアマチュア写真家、松永公良さん(53)の個展「Seasons with my Friends 2025」が1月16日から、奈良市芝辻町の新大宮診療所で開催される。1月22日まで。時間は午前10時~午後3時。入場無料。
松永さんの作品(松永さん提供)
きっかけは「病気でなくても来られる診療所があれば」
同診療所の事務長として勤務する松永さんは、自宅にこもりがちな高齢者が病気でなくても気軽に通える診療所があればと考えたことから、1階ホールを利用した展示を「なら健康友の会三笠支部」のボランティアと企画。初回は松永さんが写真展を開催。刺激を受けた80代の利用者らが、これまで絵画展や手芸作品展を開催してきた。
4度目となる今回は2年ぶりに松永さんの新作を展示。この間に奈良公園で撮りためた1000枚から鹿の写真約30枚を紹介する。タイトルの「フレンド」には奈良公園にいる鹿たちや、思いを共にするカメラマン仲間への感謝の気持ちを込めた。
地域の方に診療所の存在も知ってもらえたらと話す松永さん=奈良市芝辻町の新大宮診療所
普段から、被写体や場の雰囲気に合わせ多彩な技法、表現で撮影をする。展示も鹿作品であること以外はあえてテーマや作風を絞らずに、思いのこもった好きな作品を今の感覚で選んだ。「選定には苦労したが、来場者には気に入ったものを見つけてもらえたら、それだけでうれしい」と松永さんは笑う。松永さんの在廊予定は16、18、21日の午後と、19日終日。
リーフレットにも使用する作品(同提供)
鹿の親子を撮影した作品(同)
水面と鹿を写した作品(同)
会期中、一部の作品写真のポストカード販売も行う。全6種、1枚100円。売上金の一部は友の会三笠支部の活動費に充てられる。
展示があることで、利用者に活躍や交流の場が
利用者への出展打診は松永さんが、展示のスケジュールなどの具体的な段取り決めは手を上げたボランティアらが担当。来場者への記帳の案内から展示の簡単な説明まで、受付業務も皆で割り振り、合間には談笑などはさみつつ熱心に取り組む。これまで「予定や役割を持つことで高齢者の活躍の場が増える」「展示を通して多くの人と楽しく交流ができ、生き生きと過ごせる」と利用者やその家族からも好評を得てきた。
23年の手芸作品展の様子。奥は出展作家の稲地みどりさん=同
松永さんは、将来的には用事がなくてもここに来たら誰かがいて、おしゃべりしながら時間を潰せる場所になってほしいと願いを込める。利用者との何気ない会話の中から隠れた「作家」を探し出し、出展の声掛けを続ける。
診療所に通う方にも少しの楽しみを、と1階エントランスにも常設で展示を行う=同
「習字・油絵・手芸などそれぞれに長けた利用者の方がたくさんいる。自身も定期的に展示をすることで、利用者や三笠地域の方の制作意欲をかきたてることができれば。ここに来ることが心のよりどころとなり、心も身体も元気になる。そんな場所になれたらうれしい」と松永さん。
とはいえ大掛かりな展示には準備から本番、撤収までかなりのパワーを使うもの。数人が作品を持ち寄り体力の負担なく参加できるグループ展など、今後の新たな構想も思い描いている。
作家紹介・松永公良さん
奈良公園で活動する様子(松永さん提供)
奈良の鹿を中心に、季節の花や飛行機などのテーマを好んで撮影。多彩な表現を取り入れるが、思い切ったコントラストのある写真や光を効果的に使った作品を得意とし、自身のSNSに投稿して腕を磨く。25年天草エアラインカレンダーフォトコンテストで最優秀賞受賞。普段は診療所に勤務し、休日の朝や仕事終わりなどに時間を作り撮影を続けている。松永さんのinstagramはこちら。
「なら健康友の会」とは
医療法人岡谷会の各診療所に付随する、利用者の会。地域活動や健康づくり、サークル活動などを行なう。入会金1000円のみで年会費不要、世帯で加入できる。地域の健康を守り「安心して住み続けられるまちづくり」を目指し隔月で機関誌も発行。24年10月現在、奈良県内で計7支部・1万6千世帯が加入する。三笠支部の会員世帯数は1900を超える。
情報
<名称>
医療法人岡谷会 新大宮診療所
<住所>
奈良市芝辻町4-7-2
<駐車場有無>
あり(建物東隣)
<電話>
<公式サイト>