心がつながる新しい家族のカタチ 奈良市の「里親制度」とは ももいろ いくジーカも応援
何らかの事情で保護者と暮らせない子どもたちを家庭に受け入れる「里親制度」への理解を深めるため、「奈良市子どもセンター」(奈良市柏木町)ではイベントなどを通じて啓発活動に取り組んでいる。10月の「里親月間」を前に、同センター子ども未来部子ども支援課長の田村敏之さん(55)に里親制度の実情、今後の展開などについて話を聞いた。
里親制度広報イベントの様子(奈良市子どもセンター提供)
たくさんのカタチがある「里親制度」
里親と聞くと法律上の親子となることを前提に子どもを引き取り育てる「養子縁組里親」の印象が強いが、そのカタチは複数ある。奈良市も含め全国で最も多いのは、子どもが生まれた家庭に戻るまでや、社会自立する時までなど一定期間ともに暮らす「養育里親」▽両親のいない子どもと親族がともに暮らす「親族里親」▽普段は施設や地域で過ごす子どもを、ホームステイのように週末や夏休みなど一時的に預かる「週末・季節里親(ふれあい里親)」ー などがある。
数時間の託児ボランティアや、数日から関わることができる里親からスタートし、徐々に長期間子どもを預かる里親へと移行する協力者も。単身でも条件が合えば里親登録が可能だ。
奈良市の啓発活動 こんな場所でも
奈良クラブでの広報イベントの様子(同)
県内商業施設での広報の様子(同)
子育てイベントでの広報活動の様子(同)
奈良市では里親制度の説明会を「里セツ」と題して毎月開催。里親に関心を持つ5組前後の人々が訪れる。具体的な制度概要や種類を知れることで、参加者からは「登録に向けて進んでいきたいと思えた」「短期でも関われることが知れた」「より多くの人に聞いてもらいたい」との声が聞かれる。
この数年は啓発に協力してくれる場所も増え、地域の祭りや、サッカーJ3「奈良クラブ」のホームイベントなどに同課がブース出展。里親制度のリーフレットの配布や広報活動を行っている。
これらの取り組みで2022(令和4年)度には26世帯だった奈良市の里親登録者は、翌年度には33世帯、今年度には37世帯と増え、少しずつ実を結んでいる。
同課と「里親センターなら(天理市)」による「里セツin奈良市」は、毎月20日に開催。JR奈良駅前の奈良市はぐくみセンターで、直近は9月20日に行う。午前10時から同11時半。参加無料。申し込みは電話0743(85)5567、または奈良市里セツ【里親制度説明会】参加申し込みフォームから。当日参加も可能。
奈良市の里親制度全般に関する問い合わせは、同課、電話0742(93)6595。奈良市子ども未来部インスタグラムは≫≫コチラ
子どもの幸せ支える、温かな仕組み必要
奈良市子ども支援課長・田村さんの話
事情があって保護者と暮らせない子どもたちは日本に約4万2千人。多くは施設で生活をしますが、奈良市には児童養護施設や乳児院といった施設がありません。そのため里親の協力が大きな支えとなりますが、同じ中核市である明石市の77世帯と比較すると奈良市の里親は半数以下。対象となる子どもの多くは住み慣れた地域から離れざるを得ないのが現状で、奈良市内での里親養育の担い手が強く求められています。
中でも「養育里親」としての子どもとの関わり方は幅広く、1日から数日間の短期や、赤ちゃんや小さい子を一定の期間だけ預かるカタチも。また、委託児童を連れて参加できる「おしゃべり広場」が定期的に開催され、里親同士の交流の場もあります。また、市や市の委託事業者による家庭訪問や電話での支援なども行い、里親や委託児童、里親の実子が孤立しないようなフォロー体制を整えています。
今後は薬局や商店街などで啓発物を、市内図書館では里親啓発に合わせた関連図書ブースを設置していく予定。子どもや里親の状況に応じて、様々な活躍のカタチがあります。子どもたちが温かな環境下で暮らせるよう、一人でも多くの方に制度を知ってもらえたらと思います。
里親月間を前に広報に力を入れる職員ら(同)
奈良キャラ紹介 #06
ももいろ いくジーカ Momoiro Ikuji-ka
(奈良市子ども政策課提供)
・「子育て@なら」のWEBサイトで会える度 ★★★★★
・優しいパステルカラーで親しみやすい度 ★★★★☆
・この秋から子育て応援のPRロゴマークでも活躍していく度 ★★★★★
※2024.9.15奈良新聞「奈良の鹿ニュース」調べ
※奈良新聞独自の指標です
イベントでも人気♪ ももいろ いくジーカとは?
「ももいろ いくジーカ」は2013年に誕生した、奈良市の子育て応援キャラクター。ももいろの姿と、育児と鹿を掛け合わせた愛称がキュート。優しいパパ・ママと元気いっぱいの3匹の子鹿たちの5匹家族で、子育てに奮闘する奈良市の皆さんを応援中!
パパジーカとママジーカから皆さんへのメッセージ
「奈良市の里親制度についてたくさんお知らせしたくて、イベントの場やバス広告、啓発動画にも登場しているよ。たくさんの子どもたちが温かな家族と過ごせたら、うれしいな!」(パパジーカ・ママジーカ)