インテリア雑貨などを扱う「器と暮らしの道具・カウリ」(奈良市鳴川町)は今月から、鹿のマスコットを焼印したせんべいの販売を開始。その愛らしさが来店する客の目にとまり、早くも追加入荷を重ねるなど好評を得ている。

 

「カウリのおかし」と、モデルとなった陶器のカウちゃん(右奥)=奈良市鳴川町のカウリにて

 

奈良とともに歩む人々の手しごとが集結した「カウリのおかし」

　焼印の鹿は同店のマスコット「カウちゃん」にちなんだ。店主の中内禄子さん(51)がオリジナルな奈良みやげを企画し、そのシリーズ第一弾として「カウリのおかし」(595円・税込)を発売した。カウちゃんをあしらった小箱に、畠山製菓(奈良市法蓮町)製でカウちゃんの焼印入りたまごせんべい2枚×2袋、空豆せんべい2枚×1袋のほか、店名入りのカウちゃんシール1枚、奈良にちなんだ写真にカウリのひと言を添えた栞(しおり)の「奈良一景」1枚を詰め合わせている。

 

 

暮らしを楽しむ人が集う店、カウリ

店内には中内さんがセレクトした作家ものの陶器や布小物、ガラスなどの作品が数多く並ぶ。手作りの作品は同じ形でも一つひとつに表情があり、選ぶ楽しみも=同

 

　カウリは2010年にオープンした、店主の中内禄子さん(51)が全国の作家に声をかけ一点ものの陶器や雑貨を中心に扱うお店。暮らしの道具の店として、シンプルで長く使え、作り手の「アジ」が伝わってくるようなアイテムをセレクトしている。日々の暮らしを丁寧に楽しむ、幅広い年代の女性が多く来店する。

　取り扱いの品のほとんどはジャパンメイドのため、訪日観光客らもたびたび店を訪れお気に入りの作品を見つけ購入していくという。

 

 

中内さんと「シカとよっちゃん」との出会い

　2020年には、開店10周年を記念するイベントを開催するにあたり、同店で作品を扱う作家らに「奈良に関するもの」というテーマで作品を募り販売を行った。その中に、陶芸家・金子佐知恵さん(当時は奈良市在住)がカウリをイメージして作陶したオブジェ「シカとよっちゃん」の姿があった。

 

　当時イベントで扱った作品たちをイラストにし、包装紙や手ぬぐいなどにデザインしたのが、デザイン事務所「サトリデザイン」(奈良市)の羽角聡子さんだった。

 

当時募った作品が勢ぞろいしたカレンダー。下段中央が「シカとよっちゃん」＝同店提供

 

作品をイラストにして、羽角さんがデザインした当時の包装紙＝同店提供

 

 

せんべいの中で居心地のよさそうな「カウちゃん」

　イベントから数年がたった2023年、中内さんは「カウリのオリジナルでかわいい手みやげをつくりたい」と考え、親交のある羽角さんに相談。羽角さんは以前、畠山製菓の商品「鹿さんぽ」のパッケージデザインに携わった経験から「カウリらしい焼印をつくり、老舗の畠山製菓のせんべいに焼き付けてもらうのはどうか」と提案。

 

　関連記事≫≫どの世代にも「懐かしい」素朴なおいしさ。丁寧に焼き続ける「畠山製菓」(2023年4月2日)

 

　2人の間でアイデアが膨らみ、「ほろ酔いのお父さんが手にぶら下げて持って帰ってくる手みやげ感」「奈良のちょっとしたおみやげに」をテーマに商品案を練った。パッケージや同梱の紙アイテムにもこだわり、程よく力の抜けたおしゃれでおいしい「おみやげ」を目指した。

 

　焼印には、すでに羽角さんがイラスト化していた「シカとよっちゃん」の「シカ」を選んだ。奈良の象徴でありつつ、一見鹿には見えないゆるさとインパクトがあること、元々カウリをイメージしてつくられた作品がモデルで思い入れがあったこと、丸みを帯びた姿がカウリの雰囲気やせんべいの素朴なおいしさにしっくりとなじむこと、が決め手となった。今回の商品化のタイミングで、より愛着がわくように「カウちゃん」と名付けた。

 

店内の一角になじむ「カウリのおかし」。「奈良ではあらゆるお店にそれぞれ独自の鹿商品が。なぜそこに棲みついているのか想像するのも楽しい」と中内さん=同

 

　中内さんは「紐がけで懐かしい手みやげのような雰囲気に仕上げた。カウちゃんのほっこりするかわいさとユーモアを、皆さんに楽しんでもらえたら」と話している。

 

　同店では30日まで松波曜子陶展「ひと雫(しずく)」を開催中。午後5時まで。来月27日からは山田奈緒子ガラス展を開催。また毎年人気のリネンカレンダー2025年版は近日入荷予定。最新の入荷商品や展示会、営業日などの詳細は同店SNSに掲載。一部の商品はオンライン販売(https://kauri-online.com/)で取り扱いあり。